BAMBOO SHOOTS MOUNTAIN JOURNEY

バンブーシュート・ディレクター 甲斐一彦はなぜいま山に行くのか。

バンブーシュート・ディレクターの甲斐が、
最近どっぷりと山の世界にハマってます。
その目的は、楽しいっていうのはもちろんなんですが、バンブーシュートで山の服を作るため。
この「BAMBOO SHOOTS MOUNTAIN JOURNEY」では、バンブーシュートが提案する新しい山服のスタイルを構築していく、長い旅を追って
いきたいと思います。第一回目となる今回は、「そもそもなんでいま、山の服なの?」という
素朴なギモンから。 






―さいきん、めちゃくちゃ山に行ってるって
聞きましたけど?

 甲斐:週1行ってます。

−そんなに山登りする印象なかったですけどね。なんで急にそんなに行き始めたんですか?

 甲斐:去年の10月に15年振りくらいに奥穂に
登ったんですけど、なんか良かったんですよね。
 
―なにが?
 甲斐:なんだろう(笑)。
 
―まあ、そこはいいです(笑)

甲斐:あ、そうだ、服を作りたくなったんですよ。
その奥穂の時には、いわゆる一般的な登山ウェアで
行ったんですけど、このスタイル以外にもあるんじゃ
ないかな? と思って。これまでバンブーシュートで
作った服たちって、自分が好きだった古着を復活させたっていうイメージなんです。
 
軍パン(FATIGUE TROUSERS-SATIN)とか、シャンブレーシャツ(LONG SLEEVE CHAMBREY SHIRT)メリノのポケTee(MERINO S/SLEEVE POCKET TEE)
などですかね。

 甲斐:それがひととおり作れたので、同じような文脈で山の服を作ってみたら面白そうだなと。
 
―同じ文脈というと?

 甲斐:個人的には格好いいと思っているんだけど、
いまでは見かけなくなったスタイルの提案ですかね。
 
―いまの山の服ってアルパインっぽいものが多い
ですよね。ピタッとしたパンツのイメージ。

 甲斐:でも、ハイカー系もけっこう出てきてますよ。
昔に比べたら、決まり事が減って、かなり自由になっている感じがします。だったら自分にも作れるものが
ありそうだなと、最近山に行くと思うんですよ。
 
―具体的にはどんな感じでしょう?

 甲斐
:僕は「YOSEMITE 60’s」とか
「THE STONE MASTERS CALIFORNIA ROCK CLIMBERS IN THE SEVENTIES」とかの写真集に出ていた
クライマーたちのスタイルが好きだから、そのへんを
落とし込めないかなと思ってるんです。
実はすでにいくつか作っているものもあるんですよ。
 
―甲斐さんが作ったロックスのパンツ(MOUNTAIN CARGO CLIMBING PANTS)は、クライミングの要素
多いですよね。

 甲斐:あれはロイヤルロビンスが初めて軍におろした5.11っていうパンツが元になっているんですけど、
いま無いものって、格好いいんですよ、単純に。
だからいま忘れられてしまっているような、過去の名作のディティールを復活させるところから始めるのも良いかなとおもってます。さらにそういうアイテムを
通じて、カルチャーも伝えられるのが理想です。

―うちらの世代だと、なにを着るかって、
どんなカルチャーが好きかってことに直結してましたもんね。

 甲斐
:いろんなスタイルがあって良いと思うんです。山で絞り染め着たって良いし、シャンブレーだってアリ
なんじゃないかなとか。もっと自由に山の服を解釈してみたいですね。そういうのがあったらもっと山って楽しくなるのかな。
 
―たしかに、普段自分が街で着る服を選ぶ感覚と、山で着る服ってぜんぜん一致しないですね。

 甲斐
:街であんなピタッとしたパンツ履かないでしょ?(笑)。べつにピタッとしてるのがダメとかじゃなくて、そこにもっと選択の自由があっても良いんじゃないかなと思うんですよ。
でも、そういう自由さに目が向けられるようになった
のも、昔からの人が築き上げてくれた今があるから
なんですけどね。

―なるほど。ただ、そうやって自由に作った服が山で
通用するのか問題もありますよね。

 甲斐
:だから、いまたくさん山に登ってるんです。
実際どうなのかっていうのを自分の体で試して(笑)。
この「BAMBOO SHOOTS MOUNTAIN JOURNEY」
では、服作りの過程を追っていくこともやるんですが、ゲストを呼んで、実際にサンプルを着てもらって一緒に山に行く、ハイキングクラブ的なこともやっていきたいですね。

―いろいろとフィードバックももらえそうですね。

 甲斐
:そうそう。それを元に改良していったり、
新しいプロダクトが生まれたりしたら面白いですよね。
ほかにもゲストは服を作ってる人が多くなると思うんで、コラボ企画なんかが生まれても良いですし。

―長い旅になりそうですね。

 甲斐
:そういう試行錯誤をしっかりやっていけば、
いつか自分の理想の山の服が作れるんじゃないかな、
と思ってます。

櫻井 卓 Takashi Sakurai
ライター。「TRANSIT」「Coyote」などの旅雑誌のほか「PEAKS」など山の雑誌でも執筆。国内外の国立公園巡りをライフワークとし、これまで訪れた海外の国立公園はヨセミテ、レッドウッド(カリフォルニア)、デナリ(アラスカ)、アーチーズ(ユタ)、グランドキャニオン(アリゾナ)、ビッグベンド(テキサス)
サガルマータ(ネパール)、エイベルタズマン(ニュージーランド)など。とくにヨセミテ近辺は、何度も訪れている。
www.subsakurai.com

木本日菜乃 Hinano Kimoto
写真家。株式会社アマナを経て2020年に独立。現在はフリーランスの写真家として「TRANSIT」「FRaU」「BRUTUS」などの雑誌のほか、GOLDWINと環境省の
WEBサイト「NATIONAL PARKS OF JAPAN」にて、日本の国立公園の撮影も担当。新宿御苑などでの写真展も開催している。
www.hinanokimoto.com