北海道 大雪山系 3泊4日 縦走の記録 【後編】 <トムラウシ山~十勝岳>

【前編はこちら】

DAY3

 

雲海と太陽の日の出のコントラストが美しい

 

3日目はオプタテシケ山を抜け、その先の美瑛岳避難小屋のキャンプ場まで約10時間の行程。今回の山行の中で最もハードな日である。

 

トムラウシ山~オプタテシケ山は距離が長くエスケープルートもないことから、登山者の数が極端に減る。

 ハイマツと笹が生い茂った登山道を5時間以上やぶ漕ぎして進む必要があり体力だけでなく精神面でも大きく消耗した。

 岩場や鎖場のようなわかりやすい難所ではないがもう二度と歩きたくないと思うような道だった。

 

笹地獄。

昨夜の雨で濡れた葉っぱが体に容赦なくあたり、雨でもないのに体はびしょ濡れに。

 

ハイマツ地獄。

 

背丈以上のハイマツをかき分けながら進む。

ザックに引っかかり思ったように進めずにイライラする。

 

上記の写真はまだましな道でトレイルを歩き進めるほどに笹とハイマツが深く生い茂り、

文字通りかき分けて進んだ。

 

笹とハイマツ地獄を抜けた先に待ち受ける次なる難所。

 

ひたすら笹とハイマツをやぶ漕ぎしながら進むこと数時間。

ようやくこの地獄から抜け出せたと思ったら今度はトレイルが昨夜の雨で水に浸かっており沼地状態になっていた。

何とか濡れないように足場を探しながら進むも最終的にはひざ下まで泥に浸かり歩くこととなった。

 

ここで図らずしもALTRA LONE PEAK7の速乾性の高さを実感する。

防水ではないので一瞬で濡れてしまったが、一緒に履いていたmont-bellの和紙ソックスとの組み合わせによって比較的早い段階で乾き不快感が少なく歩くことができた。

 

一方、同行者のリーはミッドカットの防水シューズを履いていたが、防水がゆえに濡れた靴の内部が乾かず足の水膨れを起こしてしまい歩行に大きな支障が出ていた。

 

沼地を歩き終えた二人の足元。見事に水浸しに。

 

 

オプタテシケ山の山頂までは400m近く高度を一気に上げる。

笹とハイマツ地獄と沼地を抜けた後の体にはなかなか堪えるルートである。

写真を見返すとこの区間の画像がなかったのでけっこう疲れていたようだ、、、。

 

オプタテシケ山山頂で記念撮影。雲がかかっており視界は悪い。
リーは濡れた靴で歩き続け疲れ気味。
 

本日の目的地のテント場はもう目と鼻の先。

 

オプタテシケ山から美瑛岳避難小屋キャンプ場までは下り道なので気が楽だ。

 

美瑛岳避難小屋 テント場。

 

今回の旅 最後のテント場。

水場は枯れており、わずかな水たまりから水を採取して飲むほかない状況。

流石に浄水器でろ過しても飲むのを躊躇するような水場であった。

山中で仲良くなった日帰りのULハイカーから水を1リットル分けてもらい何とか凌いだ。

3日間一緒に歩いたリーとはここでお別れ。

はじめて会った人としかも外国の人と丸3日間も一緒に歩くなんて想像もしなかった。

こういった思いがけない出会いも旅の醍醐味なのだろうと感じた。

 

DAY4

美瑛岳から見る十勝岳連峰。今まで歩いた山々とは異なる山容。

 

最終日は美瑛岳、十勝岳を超えて十勝岳温泉まで下るルート。

第一目標の美瑛岳山頂から本日の最終目標である十勝岳連峰を一望できる。

火山礫に覆われた赤褐色の山容は今までとは大きく異なる。

 

まるで砂漠の中を歩いているような光景。太陽が照り付ける。
今までほとんど役に立たなかった日傘が初めて役に立った。

 

十勝岳まではまるで砂漠のようななだらかな稜線沿いを進んでいく。

 

地味にきつかった砂地の急坂は、ストックなしでなおかつローカットシューズのためグリップが効かず、思った以上に時間を要してしまった。

 

十勝岳山頂。十勝岳はアクセスもよいため日帰り登山者も多い。

 

十勝岳の山頂へは予定のコースタイム通りに到着。

照り付ける日差しと砂地に足を取られて思った以上に体力を消耗した。

 

稜線からの美しい景色

 

十勝岳から十勝温泉までは23時間ほどなのでだいぶ気が楽だ。

縦走が終わる物寂しさを感じると同時に4日間もお風呂に入っていないので、

早くシャワーを浴びて冷たい飲み物を飲みたい気持ちもあふれ出てくる。

 

 

ゴールの十勝岳温泉 湯元 凌雲閣。
源泉かけ流しの温泉は茶色く濁っており個人的には結構癖のあるお湯だった。

 

【さいごに】

当初はゆとりをもって45日の行程で計画を立てていたが、

体調もよく天気に恵まれたこともあり想定以上のペースで進め日程を短縮することができた。

北海道の雄大な景色を堪能できたことはもちろん、道中に様々な人たちとの交流も大きな経験となった。

北海道の大自然は34日では味わいきれないので是非また来年も訪れてみたいと思う。

 

 

 【おわり】