【石鎚山系縦走記】

こんにちは、BAMBOOSHOOTSスタッフの坂本です。

きのこと紅葉で森が一層華やぐこの季節、秋山を満喫したく今年4度目の四国を歩いてきました。訪れたのは伊予の霊峰石鎚山。愛媛県に住んでたことがありながら未踏で、どうせなら石鎚から平家平、そのままバスの出ている大川村役場を目指して歩く70kmの縦走記です。

〈ギアリスト〉

秋山2泊3日の装備はこちら。初日は避難小屋泊、2日目はハンモック泊想定。ここへ3日分の食料とカメラを入れると水抜きで5kgの総重量。行動着にMHWAIR MESH HOODY』を選んだので保温着は持たず、結果的に6~7℃のハンモック泊では十分な装備でした。

サンライズ瀬戸 出雲 寝袋サンライズ のびのびシート 雑魚寝 寝袋石鎚を登るにあたり寝台列車のサンライズ瀬戸で四国へ行くことに。一番安いのびのびシートでも、マットと寝袋を背負って旅する私たちハイカーにとって、フルフラットなスペースで寝て起きたら高松に着いているのは至極快適。東京駅構内で買った缶ビールをぶら下げ、えも言われぬ旅情に浸りながら四国へと出立。

ちなみにEEREVELATION SLEEPING QUILT 30°F』長さと幅がのびのびシートの1区画にシンデレラフィットします。翌日、観音寺市の喫茶店で朝食を食べ、電車とバスを乗り継ぎお昼頃に登山口へ到着。山頂を経由し宿泊予定地のシラサ峠を目指すには少し遅い時間だし、ここは遠慮なくロープウェーを利用することに。1200円の課金で標高差800mとコースタイム2時間半を一気に稼げます。

紅葉期とはいえ雨の石鎚は人もまばら、おかげで渋滞することで有名な鎖場もスムーズに進み、気が付けば西日本最高峰の頂へ。案の定真っ白

休憩をしないで歩き続けたら、雨脚が強まる頃に首尾よくシラサ峠避難小屋に到着。二階まである広く綺麗な小屋はどうやら本日貸切らしい。日没までまだまだ時間があり、一人きりの小屋でのんびり読書。こういった時も掛け布団スタイルでぬくぬくできるキルトはリラックスしやすいし、改めて便利だなと思います。小屋内の温度計は9℃を示していて、−1℃対応のこのキルトを閉じて寝ると私には暑く、広げたキルトとMinimalist Padで眠った。2日目は日の出前から歩き始める。何日か前に確認した天気予報は晴れ予報で、瓶ヶ森から石鎚山のモルゲンロートが見れたらなぁ…なんて期待を膨らませながら計画を練っていた。しかし蓋を開ければガス時々小雨、電波が入った名も無きピークで最新の予報を見ると晴れマークはどこにも見当たらない。

だけれど、そんな天気でしか出会えない静かで美しい霧がかる黎明の氷見二千石原や、ガスと紅葉を貫くUFOラインの景色は見事で、人のいない山頂で朝食のPOWBARを食べながらいつまでも眺めていた。
今回いいなと感じたアイテムはアップデートされたMHWAIR MESH HOODY』。耐久性と保温性が高まってより使いやすい一着になった印象です。旧モデル実測121g(Mサイズ)→新モデル156gと、重量こそ増えたけどそれでも軽い。単体で着た時は旧モデルほど抜け過ぎず、風が吹いても体温が奪われにくかった。朝の気温は6℃風速3~4mといった環境で、ベースレイヤー+AIR MESH HOODY+ウインドベストで十分でした。
また、リバーシブル仕様になったのも注目すべき点、裏返してメッシュ面が肌側の方が汗の吸い上げが早いしチクチク感もない。そしてOctaの欠点とも言われる見た目のジャージっぽさがないから街着でも着れると思います。
”裏返した方が暖かい”という話は失礼ながら眉唾だと思ってたけど、着比べると確かに暖かい。起毛面が表にくることで、例えるならマイクの風防に付けるファーのような役割を果たして防風性が少し高まります。更に起毛面が表の方がベルクロや枝の引っ掛かりが少なくて、「Octaはこの使い方が正しいのでは…」と納得してしまった。
アクティブインサレーションを代表する3種類の生地(Octa、AlphaDirect、ActiveEvolve)をそれぞれ使い倒した結果、私は耐久性の高さやレイヤードのしやすからOctaが最も使いやすい感じています。そんなOctaの耐久性が更に向上し、消臭機能が付き、リバーシブルになったAIR MESH HOODYは一歩抜け出た存在ではないでしょうか。
以前、剣山から京柱峠まで縦走した時もそうだったけど、四国の山はメジャーなピーク以外で濃い笹藪が多い。雨が降らなくても朝露でびしょびしょになってしまうから、笹が濃い場所ですぐ巻けるレインスカートがとても便利です。当店取扱いアイテムだとULARAIN KILT』なんかはカラバリ豊富で気分を上げてくれるギアです。軽さと機能性に拘る方にオススメなENLIGHTENED EQUIPMENT『RAIN WRAP』1月再入荷予定。
四国では数少ない亜高山帯となっている石鎚山系の稜線部は、絶滅危惧種で四国固有種のシコクシラベやウラジロモミで形成されている。そんな樹林帯の林床にはアカモミタケやクロラッパタケなど、晩秋の美味しいキノコたちが顔を出し、一方その上でナナカマド、ドウダンツツジ、ダケカンバが美しく染まっています。
平家平に着いた頃には完全にガスに覆われ本格的な雨に。この日はここから数時間歩いた先の樹林帯でハンモック泊。カメラを濡らさないようザックに仕舞い込んだきり写真は撮れませんでしたが、ハンモックだけで5日間山を歩いたブログも書いてますので、よろしければご参照ください。ハンモックとも抜群に相性の良いEEのキルト。寝台列車や避難小屋で掛け布団スタイルで寝ても、テント内で寝袋型に閉じて寝ても、ハンモックのアンダーキルトとしても文句のない使い勝手、シンプルながらよく考えられたアイテムだと思います。『REVELATION SLEEPING QUILT 30°F』は軽さと対応温度のバランスに優れ、日本の山で使うには特に汎用性の高いモデルとなってます。
3日目は朝から雨。タープとハンモックを撤収し、あとは山を降るだけ。離島を除くと日本で2番目に人口が少ない高知県大川村。そんな大川村役場のバス停を目指して登山道と林道を歩いてゆく。雨が葉を打つ音、濡れた落ち葉の香り、秋の冷たい雨に打たれながら歩くのも心地良いなと思いつつ、3日間もずっと雨だとやっぱり秋晴れの山も恋しい。
…そんな思いもあり、下山後の晴れた日に再び別の山へ登ることに。
爽やかな秋晴れの日に登ったのは、ずっと訪れたかった横倉山。ここは、安徳天皇が崩御した地だと伝わる場所で、山頂付近に御陵が残る。平家物語では壇ノ浦で入水したと語られていますが、その実、屋島の戦いの時点で替え玉と入れ替わり、讃岐から四国山地を越えて土佐へ落ち延びたという伝説があるのです。ちなみに、石鎚山系の平家平もその亡命中に通ったとされる場所で、今回はそのルートを一部トレースしました。日本各地に残る安徳天皇御陵参考地や平家所縁の地を訪ね歩くことが私の趣味の一つで、今年の春には九州脊梁山地を縦走して熊本の安徳天皇御陵伝説地を目指したり、熊野脇道を歩く途中で落人伝説が残る竈方集落へ訪れた。その中でも、横倉山は宮内庁の直轄地で伝説に信憑性がある。都は山の上にあったのですねぇ
横倉山を語る上で欠かせないもう一人の人物が牧野富太郎。日本植物学の父・牧野博士は横倉山がある越知町の隣町佐川の生まれ、横倉山は牧野博士のホームフィールドでした。安徳天皇を祀る横倉宮の横に立つ「ヨコグラノキ」は牧野博士が新種として発見した木で、博士が遺したメモから割り出された個体。新種発見の際の標本木が特定され、それが現存しているのはこの横倉山のヨコグラノキだけ。学術的価値のある一本です。
その地質と植生もまた特異で、横倉山を構成する4億年前の地層からは、日本最古級の大型化石が多数産出し、コオロギランやアカガシの純林など、貴重な植相を成している。横倉山は歴史、植物、地質が好きな人間にはたまらない場所。
また、土佐唯一の修験道の霊場でもあったので、行場の雰囲気が残る岩場からの眺めも抜群。見どころ満載の山でした。
四国にはまだまだ登りたい山や歩きたい道が多く、次に訪れるのが楽しみです。

ここまでご覧いただきありがとうございました。
坂本

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