北海道 大雪山系 3泊4日 縦走の記録 【前編】 <旭岳~トムラウシ山>

こんにちは、BAMBOO SHOOTS スタッフの黒田です。

お盆休みを利用して北海道の大雪山系 約60km34日で縦走してきました。

大自然溢れる北海道での縦走の記録を前編 後編に分けて書き記していきたいと思います。

少し長くなってしまいますがどうぞお付き合いください。

 

【大雪山系について】

大雪山系の神秘的な山容や高山植物の大群落はアイヌの人々に「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼ばれています。

今回のルートは大雪山系の主峰 旭岳をはじめトムラウシ山、オプタテシケ山、美瑛岳、十勝岳を超えていく代表的な縦走路です。

歩行距離が長くエスケープルートも少ないことから一般的には上級者向けとされています。

 

今回は熊スプレーと熊鈴の携行及び熊の生態を把握し、万が一にも対応できるような十分な対策を取ったうえで登山に臨んでおります。

※現在 白雲岳~白雲岳避難小屋間では至近距離でのヒグマとの遭遇がたびたび報告されており、ルートの変更や計画中止を推奨されています。

 

<ルート>

 

※地図の参照元 : YAMAP

 

8/10()姿見駅→旭岳→白雲岳避難小屋(小屋泊)  行動時間 : 4時間25

 

8/11()白雲岳避難小屋→忠別岳→五色岳→天沼→トムラウシ山→トムラウシ南沼キャンプ場(テント泊行動時間 : 8時間57

 

8/12() トムラウシ南沼キャンプ場→美真岳→双子池キャンプ場→オプタテシケ山→べべツ岳→美瑛富士避難小屋(テント泊行動時間 : 10時間37

 

8/13() 美瑛富士避難小屋→美瑛岳→鋸岳→平ヶ岳→十勝岳→上ホロ避難小屋→上富良野岳→十勝岳温泉登山口 行動時間 : 6時間50

※行動時間はYAMPのGPSデータに基づく。

 

<注意点>

北海道の山は本州と違いより整備が行き届いているわけではなく、

下記にまとめたように通常の登山とは異なる準備が必要になります。

一見すると面倒なことばかりですが北海道の大自然を満喫するためにはどれも大切な事ですので必ず守るようにしましょう。

 

・熊対策

大雪山系はヒグマの生息域の為、熊スプレー、熊鈴の携帯が必携となります。

・水場、食料

大雪山系には有人小屋がほとんどなく、食料、水の補給が通常よりも難しいです。

そのため普段よりも余裕を持った食料計画が必要になります。

特に8月以降は地図記載の水場が枯れていることも多く、事前の情報収集が重要です。

また、北海道の沢の水はエキノコックス症のリスクがあるため直接飲むことは推奨されていません。浄水器の使用もしくは煮沸消毒が必須です。

・携帯トイレ

大雪山域にはトイレ設備がないことが殆どなので必ず日数分の携帯トイレを持っていく必要があります。事前に使い方を予習しておくと安心です。

 

【装備】

 ULA EQUIPMENT / ULTRA CDT 55,000-(税込み) 9月中旬入荷予定

今回の縦走のパートナーにはULA EQUIPMENTのULTRA CDTをチョイス。

最大54Lの容量があるので4日分の食料と水を運ぶのには十分な容量。

防水素材であることに加え、UL系ザックでありながら背負心地にも配慮されたつくりは長期の縦走でも安心できます。

 

 ALTRA / LONE PEAK 7 ¥22,000-(税込み)

今回の旅の足元を支えたのは今シーズンから取り扱いがスタートしたALTRA の LONE PEAK7。

絶妙な厚みのクッションと抜群のグリップ力で、12~13kgと決して軽くない荷物を背負っての縦走でも足や膝へのダメージにもなく、ロングトレイルの本場アメリカで愛用するハイカーが多いのも納得です。

上記の写真は今回の山行の後に撮影したLONE PEAK 7。

かなりハードに使い倒したので本来の淡いカラーとは似ても似つかなく色合いになってしまいましたが、3泊4日を共に歩いたことでとても愛着がわきました!

 

1.ULA EQUIPMENT ULTRA CDT(バックパック) 2. ベアキャニスター 3. mont-bell 寝袋 4.SIX MOON DESIGNS LUNAR SOLO(テント) 5.KLYMIT inertia Ozon(エアマット) 6.テントポール、ペグ 7.モバイルバッテリー類 8.エマージェンシーキット 9.HYPERLITE MOUTAINGEAR REPACK(クジー) 10.ウォーターキャリー、浄水器 11.クッカーセット 12.SIX MOON DESIGNS 日傘  13. 下山後着替え類14.Teton Bros Tsurugi JKT、凌 ツユハラヒ(レインウェア) 15.patagonia MICROPUFF HOODY 16.SENCHIDESIGNS WARN HOODY(寝巻) 17.山と道 アルファタイツ(寝巻)

※熊スプレー、熊鈴、携帯トイレは別途装備。食料、燃料、水は除く。

 

今回の山行のパッキング内容。

装備は基本的にULを意識したものになっていますが、初めて歩く山域であるということから軽さよりかは安心感に重きをおいています。

パックウェイトは食料や水を含めて約12~13kgと結構重たくなってしまいました。

熊対策グッズ(ベアキャニスター、熊スプレー)の重さに加えて食料をかなり多めに持って行ったのが重くなった要因。

食料計画はもう少し見直しが必要だな~と改めて感じました。

 

DAY1

 

スタート地点の姿見駅

 

東京から飛行機で旭川空港へ移動し旭川には前泊。

旭川から高速バスで旭岳へ向かい、ロープウェイを使用してスタート地点である姿見駅に到着。

 

 山岳部の高校生とその関係者、自衛隊の方々でごった返している。

 

まずは大雪山系の最高峰である旭岳(2,291m)を目指す。

旭岳は旭川空港からすぐにアクセスできることもあり家族連れなども多いです。

私が登山をしたタイミングは偶然全国高校総体が開催されていました。

旭岳~黒岳周辺は登山部の高校生とサポート要員でしょうか?自衛隊の方々もたくさんいて非常に賑わっていました。

 

 

この日は曇り空で旭岳周辺は雲がかかっており視界はあまり良くなかった。

 

韓国人ハイカーのリー。
兵役の経験もありとてもタフで歩くペースも早かった。
この縦走の前には利尻山にも登ったそう。

 

 

旭岳を抜けた先で今回の山行の殆どを共に歩くことになる韓国人ハイカーのリーと出会う。

美瑛岳までいくからそこまで一緒にいかないかという彼の誘いを快諾して即席パーティを結成。

 

この先の白雲岳周辺は連日 至近距離でヒグマとの遭遇が報告されており、一人で歩くのは非常に心配だったので内心すごくホッとした。

彼とは3日間 常に英語でコミュニケーションを取っていた。

私の拙い英語(英検3)でも思ったより普通に会話ができるなと自信を持てた半面、圧倒的な語彙力のなさも痛感。聞きたいことや話したいことがあっても言葉出てこずもどかしい思いを何度もしたので今更ながら英語をもっと勉強したいという意識が芽生えた。

 

 

 小熊と親熊を発見

 

白雲岳避難小屋に向けて歩いているとリーが突然「Look over there !!」と言った。

リーに指さされた方を見ると30m先のハイマツ帯に小熊2頭と親熊1頭が採餌をしているところに遭遇。

想像に反して熊たちは私たちに興味を示すことはなく、熊との遭遇を恐れていた私はなんだか拍子抜けしてしまった。

 

白雲岳避難小屋(現在テント場は封鎖中)

 

本日の宿泊地である白雲岳避難小屋に到着。

大雪山系の小屋は基本無人だが黒岳石室と共に管理人が在中する珍しい小屋。

整備も行き届いており非常にきれいで快適な小屋だった。

 

テント場はヒグマが連日侵入しているため封鎖されているので小屋泊を選択。

 この日もテント場周辺には例の熊の親子がかなり長い時間滞在していた。

 

DAY2

広大な自然を一人占め

 

2日目はトムラウシ山を越えたすぐ先にあるキャンプ場を目指す約9時間の行程。

天候は晴れで風もあり暑くもなく、寒くもないベストコンディション。

 

 なだらかで歩きやすい稜線沿いはテンションが上がる。

 

 

トムラウシ山まではしばらくアップダウンの少ない稜線沿いをのんびり歩く。

これぞ、北海道!というような広大な景色が広がる。

 

本州とは別次元のスケールの大自然に目を奪われ飽きずに歩くことができた。

 

トムラウシ山に近づくにつれより魅力的な自然を目にすることができる。

 

「日本庭園」と呼ばれる高山植物帯。緑と岩と池のコントラストが美しい。

 

あたり一面の溶岩石は圧巻の景色

 

トムラウシの山頂までの途中には「ロックガーデン」と呼ばれる大きな溶岩石が積みあがった難所が待ち受ける。

ルート上にはペイントが施してありますが非常に見づらく、悪天候の際には道に迷いそうだなと感じました。

トムラウシ山に近づくにつれ姿を現す名所の「日本庭園」や「ロックガーデン」は非常に美しく息をのむような景色が広がっていた。

アイヌの人々が「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼び信仰の対象にしてきたのが納得できる。

 

トムラウシ山 山頂で記念撮影。

 

トムラウシ南沼キャンプ場

 

2日目の目的地であるトムラウシ山の頂上直下にある南沼キャンプ場。

人の手があまり加わっていない大自然とトムラウシ山直下でテントを張れるということで今回の旅で一番楽しみにしていた場所の一つ。

 

 背後にはトムラウシ山がそびえ立つ。

 

SIX MOON DESIGNS / LUNAR SOLO

 

今回の旅で使用したテントはシックスムーンデザインズのルナーソロ。

ULシーンでは古くから存在する名品テント。

ダブルウォールテントのようなプロテクションと高い居住性が特徴。

今現在このテントよりも軽いものはいくらでも存在するが、

個人的にはオールドアウトドアの雰囲気漂う渋いグリーンのカラーと唯一無二な独特の雰囲気がとにかく好み。

 

ベアキャニスターをスツールとして使う。

気分はアメリカのロングトレイルハイカー。

 

 ギア好きな私としては一回は使ってみたかったベアキャニスター。

結論から言うともっていかなくてもよかった、、、。

そもそも北海道のテン場にはフードコンテナがあるので基本的にはベアキャニスターの出番はなかったのであった。

ベアキャニスター単体で1kgととんでもなく重い上に、ザックの三分の一を占有するほど大きく、開閉もしずらいという代物であった。

携帯が義務つけられているアメリカのトレイルならまだしも日本では必要ないよな~とここで初めて気が付き、実際に使ってみることに意味があるんだと自分に言い聞かせた。

 

 

【後編に続く】