《雲ノ平 伊藤新道》3泊4日で行く北アルプス黄金ルート -雲ノ平編-
皆さま、こんにちは。
先日UPしたHMG CONTOUR 35のレビューブログはご覧いただけたでしょうか?
個人的にも今季イチと言っても差し支えの無いバックパックですので是非チェック頂けると嬉しいです。
《HMG CONTOUR35 レビュー》WAYPOINT 35と何が違う?? 3泊4日の北アルプスハイキングで使い倒してみました!
今回のブログではCONTOUR35を使用した山行の記録を「雲ノ平編」「三俣山荘、伊藤新道編」の2本に渡ってお送りしたいと思います。
北アルプス最後の秘境と呼ばれる「雲ノ平」を中心に楽しみ、
昨年開通したばかりの注目のバリエーションルート「伊藤新道」を使用して下山する計画。
通常3泊4日となると縦走するのがメインですが、今回は趣向を変えて通常の縦走とは違った山遊びを堪能してきました。
DAY 1 (薬師岳登山口~太郎平小屋~薬師沢小屋~雲ノ平山荘)
ゲリラ豪雨と石狩鍋
山行前夜 23:00 新宿バスタ。登山者で賑わうバス乗り場。
今回の旅は雲ノ平~三俣山荘周辺の山域をこよなく愛し知り尽くした社内の先輩にアテンドしてもらいます。
夜行バスで今回の旅のスタート地点となる折立へ出発。
いつになっても夜行バスターミナルは旅の始まりの予感を感じテンションが上がる。
旅のスタート地点である薬師岳登山口には7時に到着しパッキングを整える。
4列シートの夜行バスは席位置や隣人によって大きく睡眠の質に差が出るギャンブルだが、
今回は気心の知れた先輩との2人旅とのことで終始リラックスしてバス内を過ごすことができた。
薬師岳登山口から最初の目的地である太郎平小屋までは2時間強の道のり。
しばらくは代わり映えのしない上り坂を進んでいく。
太郎平小屋。食事は次の小屋までしないと決めていたので、
他の登山者がみんなカップラーメンを食べており誘惑に負けそうになるが、断ち切ってコーラだけを補給する。
太郎平小屋から次の目的地である薬師沢小屋まではなだらかな稜線が続く。
曇り空ではあるがガスがかかっているわけでもなく、風も強くないので綺麗な稜線を眺めながらしばらく歩き続ける。
黒部源流と薬師沢の出会いに位置する薬師平小屋。まるでRPGに出て来そうなロケーションはなんだかワクワクする。
本日2つ目の山小屋である薬師沢小屋に到着。
小屋のすぐ横には黒部源流が流れており沢におりてテンカラ釣りを楽しむ人もいるんだとか。
沢沿いは涼しいだけでなくアドベンチャー感のある景色も魅力的。
ここで再度休憩を挟み、本日の最終目的地である雲ノ平山荘まで一気に進んでいく。
薬師沢から雲ノ平までは勾配のきつい急坂がしばらく続く。暑さと急坂にヒィヒィいいながら8割程度登った位からだんだんと空が薄暗くなり天気が怪しくなってくる。
しばらくするとポツポツと雨が降り始めた思うと、途端にゲリラ豪雨のような雨が降り始める。シェル羽織り傘を差して完全防備スタイルになるも、道の狭い樹林帯の急坂ではなすすべもなく、体からの汗によってみるみる内に体が濡れていった。
途中、先輩がサングラスを紛失し、来た道を探しに戻るといったアクシデントもあり、二人の体力はだいぶ消耗してしまった。
しかし、幸か不幸か直登を登りきると、さっきまでのゲリラ豪雨はパタッと止んだ。こうなれば雲ノ平山荘まではあとわずか!
早く暖を取って温かい食事が食べたくておのずと歩くスピードも速くなる。
15:00 雲ノ平山荘到着
北アルプス最後の秘境と呼ばれる雲ノ平に佇む山小屋。2010年に建て替えが行われており小屋の中は清潔感がある。
ちなみにこの雲ノ平小屋、私が知る限り日本で最もハイセンスな山小屋。
オーナーである伊藤二郎氏のこだわりがつまっており、小屋内のテーブルや椅子、スピーカーといった数多くの調度品はDIYしたものだそう。小屋には美術関係の本や写真集なども並べられており、他の山小屋とは明らかなに趣が異なる。
定期的に様々なアーティストを招き山小屋で創作活動をしてもらったり作品の展示もおこなっているようだ。
既に何度も訪れている先輩から、山小屋に泊まるなら絶対に雲ノ平山荘がおススメという熱いプレゼンを受けて、それならば体験してみよう!ということで今回私たちは小屋泊を選んだ。
学生時代はワンゲル部で山に行くならテント泊!と問答無用に教えられていた私にとって、実は初めての山小屋泊。どんなものか期待に胸がふくらむ、、、。
山小屋の食事には到底見えないお洒落なメニュー。
まるでカフェみたいなラインナップ。クラフトビールやワインも販売しておりそのクオリティには驚かされる。
今回の寝床。横に誰もいない部屋の角を割り当てられとても快適。
雑魚寝スタイルだが、雨風を凌げる屋根があり、かつ温度も適温というそれだけで非常に快適に眠れる。
このスタイルに慣れてしまうとテント泊ができなくなってしまいそうだ、、、笑
夕食は名物の石狩鍋。大きなしゃけの切り身の他、ゴボウやにんじん、ジャガイモなどの根菜類がゴロっと入っており食べ応え抜群。野菜や乾物を使った副菜類も美味。 種類豊富に取り揃えるクラフトビールもしっかり頂く。
夕食で提供される名物の石狩鍋は 味噌と酒粕で味付けされた少し濃いめの味付けで、雨で濡れて疲れた体に染みわたる。
石狩鍋とごはん、生姜の佃煮はお替り自由ということで、
私たちは雨の中歩いた疲れも相まってそれぞれ山盛りで3杯もお替りしてしまうほどおいしい夕食であった。
夕食後の食堂は夜喫茶として登山者に開放され、特製のジェラートやコーヒー、もちろんアルコールも楽しむことができる。
また、目の前のスクリーンには雲ノ平と三俣山荘の歴史を学べる映像や雲ノ平山荘で制作活動を行っているアーティストの制作映像が上映されている。
小屋泊の人だけでなくテント泊の人も利用できるため、登山者同士のコミュニケーションもできるとても良い空間であった。
DAY 2 (雲ノ平山荘~高天原温泉~雲ノ平山荘)
日本一遠い秘湯でチルタイム
2日目の朝食はシンプルながら滋養深いラインナップでちょうどよいボリューム。甘辛く味付けされた麩が特に美味しかった。
前日は消灯時間と共に眠りにつき、朝までぐっすりと眠れたので体に疲れは一切残らずに非常に気持ちの良い朝を迎えることができた。
一緒に同行した先輩は北アルプスをほぼ全て歩きつくしているため、
今回の旅のうち2、3日目はあえて縦走をするのではなく雲ノ平山荘周辺を周遊したり、三俣山荘で小屋のお手伝いをすることにした。
距離を稼ぐあまり、時間に追われがちないつもの私の登山スタイルから考えると、すごく新鮮でとにかく満足度の高い2日間となった。
2日目は共通の友人と合流し、3人で北アルプス最奥部に位置する高天原山荘へ目指して進む。
私たちのお目当ては山荘のそばにある日本一遠い秘湯と呼ばれる「高天原温泉」
高天原温泉までは雲ノ平山荘から片道3時間と、ふらっと行けるような距離ではないので、不要な荷物は山荘にデポさせていただくことにした。
高天原山荘方面は雲も少なく快晴。絶好の登山日和となった。
高天原温泉までの道のりは広大な森の中を進んでいくような感じで冒険心がそそられる。
途中には長いはしごが3連続する急坂もあり道のりは意外とハード。
水晶岳の麓に佇む高天原山荘。よくこんなところに小屋を建てたなと思うような深い山間の中にある小屋。
高天原山荘で温泉の入浴料¥300を払い、ここからさらに20分ほど歩いた先にある高天原温泉へ向かう。
雲ノ平山荘からはるばる3時間、ようやく高天原温泉に到着。沢の脇にポツンと佇む露天風呂はインパクト抜群。
強烈な硫黄の匂いがするスカイブルーのお湯は熱くもぬるくもなく最高の湯加減。
岩についた温泉成分はまるでとろろ昆布のよう。
温泉に浸かり酷使した体を労わる。横に流れる硫黄沢で体と髪の毛も一緒に洗い心身共にリラックス。
1時間ほど温泉に浸かりリラックスしたところで再び雲ノ平山荘へ戻る。
ここから雲ノ平山荘までは3時間(しかも登り)
せっかく綺麗にしたのに汗で台無しだ、、、と思いながらも足を進めていく。
高天原山荘手前の秘境感満載な登山道。今回の旅の中でも特に記憶に残っている道。
雲ノ平山荘への帰り道は来た時とは異なる見え方で全く飽きずに歩くことができた。
3人で話ながら進んでいると3時間の道のりはあっという間に過ぎて、13時頃には雲ノ平山荘へ戻ることができた。
雲ノ平山荘で昼食休憩をした後、合流した友人は私たちとは別の場所に行くということでここお別れ。
私たちは友人を見送りがてら、昨日は悪天候でしっかりと景色の見れなかった雲ノ平周辺を散策することにした。
溶岩台地である雲ノ平は、周りを三俣蓮華岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳、薬師岳、立山連など名だたる山々に周囲を囲まれている。
草原にはハイマツや池塘、火山岩が点在しておりまるで日本庭園のような独特の空間を楽しむことができる。昨年の夏に訪れたトムラウシ山付近の「日本庭園」と呼ばれる高山植物帯を思いだす景色だ。
普通の山では味わえない楽園のような雲ノ平の景色は、春夏秋冬、その時々の気象条件により様々な表情に変わりそのどれもが魅力的だろうなと感じた。
友人を見送ったのち、私たちは本来キャンプ所へ向かいテントを張る予定だったが、昨日の素晴らしかった山小屋の夜が忘れられず今夜も甘えて小屋泊にすることにした。
2日目の夜も私たちは夕食の石狩鍋に昨日と同じように舌鼓を打ち、夜喫茶で消灯時間ぎりぎりまで思い思いの時間を過ごして、快適な寝床で眠りについた。