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~MYOGバックパックで行く~【飯豊連峰全山縦走】
こんにちは、BAMBOO SHOOTSスタッフの坂本です。
今回は、新潟、福島、山形の三県に跨る広大な山塊”飯豊連峰”を3日間縦走してきました。日本百名山でもある飯豊連峰は、標高2105mの主峰飯豊山を中心に幾つものピークが連なる。その長大な縦走路は東北アルプスとも呼ばれ、各所の登山口から様々なコースを辿って山歩きを楽しむことができます。そんな飯豊を全山縦走した山行の記録を、使用したギアのレビューを織り交ぜながら綴っていきたいと思います。
よろしければ最後までお付き合いください。
〈ルートログ〉
※スーパー地形より引用
今回は、飯豊最南の登山口である弥平四郎集落から入山し大石ダムへ下山。そこから雲母温泉、湯沢温泉を経由して越後下関駅をゴールとしました。途中で最高峰の大日岳へのピストンを挟み総距離60km、2泊3日の行程です。
〈1日目〉
飯豊の玄関口である弥平四郎集落までのアクセスは西会津デマンドバスを利用しました、前日までに予約をすると野沢駅から弥平四郎まで運んでくれます。所要時間は駅から概ね50分程度。そこから更に1時間未舗装の林道を歩くとやっと登山口に辿り着く、マイカー利用の場合は登山口まで車で行けて駐車場に停めることが可能です。
山行のお供はMYOGしたバックパック。バックを作るのは初挑戦で、殴り書きした設計図をもとに制作。毎日寝る前に少しずつ作業して概ね10日位で完成しました。400g台で大体35L程度でしょうか…?日帰りで何度かテストを重ね、満を持して今回の縦走に使用します。
※最後の縫い合わせ前の状態
稜線に上がるまでは水2.5Lと1kgのカメラを詰めて合計9kg程の状態で歩く、自分の体に合わせて作ったバックなのでやはり快適でした。中にはフレーム代わりにや山と道『UL Pad15+』を80cmにカットした物を筒状にしてIN、フレームレスのバックパックではお馴染みのTips。バックの背負い心地とパッキングのしやすさが向上しますし、何よりUL Pad15+は寝心地と断熱性が素晴らしい。私はかれこれ同じものを6年間使用して200泊以上してますが未だ現役、耐久性も申し分ない。BAMBOO SHOOTSでは現在、100cmと175cmの両方とも在庫がございますので、是非とも店頭で手に取ってみてください。その軽さに驚きますよ。
この日は、午前中は晴れお昼からガスり夕方にはまた晴れるといった、典型的な夏山の気候でした。9月上旬とはいえ下界の最高気温は34℃と猛暑日一歩手前。後述しますが2日目は天気が良く、日陰が一切ない稜線歩きはそれはそれでハード、アルプスなんかよりもずっと標高は低く山の上でも気温は高めです。ウェアは山と道『100%MerinoLightCrewNeckPocket』1枚で3日間歩いていました。
初日はバスの都合上、登山口に着くのが10時ごろになってしまう為、本山小屋にテン泊予定でした。しかし14時過ぎに本山に着いてしまい次の小屋を目指すことに。飯豊連峰は避難小屋が沢山あり、その殆どの小屋に管理人さんが常駐(夏季のみ)しているので、飲み物や軽食の販売をしている小屋が多くて助かります。小屋泊もテン泊も協力金が必要ですが予約は不要、なのでその日のコンディションや体力に合わせて柔軟に宿泊ポイントを変えることが可能です。結局この日は弥平四郎集落から御西小屋まで、コースタイムで12時間越えの行程を歩きました。
飯豊本山を過ぎると登山者はめっきりいなくなり、気持ちの良い静かな稜線歩きを楽しめました。本山小屋周辺は人も多くテント場も数張り埋まっていたので、先に進んで大正解。個人的にも北飯豊の静かで雄大な東北の山らしい雰囲気がお気に入りとなりました。店頭にて山行の相談を持ちかけられたらお勧めします、北飯豊。
御西小屋には16時過ぎに到着。小屋で受付をした後は水を汲みに行ったり残った行動食を食べたりしながら暫しまったり。この日は私の他にテント1張りのみ、テン場も広く場所を選び放題です。とは言え私はスペースの必要ないビビィ泊なので端の方に控えめに設営。
今季からBAMBOO SHOOTSで取扱を始めた『HELIUM BIVY』今回は紹介がてらこの幕を選びました。私のシェルター変遷はダブルウォール、シングルウォール、フロアレス、タープ、ビビィ…と色々使用してきた上で、現在も山行やトレイルによって複数の幕を使い分けています。その中でもビビィ泊は私のスタイルに適していて一番手に取ることが多い。軽さやコンパクトさはタープに軍牌が上がりますが、”どんな場所でも張れる自由度”は自立型ビビィ以上の幕は無いと私は思っています。
そんなビビィ愛溢れる私が感じる魅力として、限りなく小さい設営スペース、ペグダウン不要(ペグダウン用のループは付いてます)で敷いて潜るだけ、30秒もあれば設営できるので、暗くなるまで歩いて適当な場所を見つけ野営する…そんな挑戦的な山行との相性が良い。
更に軽量な封筒型のビビィだと、雨の日にはタープなどで屋根を作るか、ポールとガイラインでビビィの頭部を吊るして空間を作る必要が出てきます。自立する完全防水のHelium Bivyはそれらが必要なく、ビビィ最大の強みである”どこでも寝れる”という恩恵を最大限享受できます。
私の場合は、四国遍路、熊野古道、みちのく潮風トレイル、その他古道…と、山と街を織り交ぜて歩くようなトレイルによく行くので、極端な例を上げるとお寺の方に許可を得て駐車場の端に張らせてもらうことが偶にあります。アスファルトの上ではペグダウンの必要ない自立型一択になるので、山でも街でも張る場所を選ばないビビィは強い味方。
とくに山行においては、暗くなってから野営地を探すのに焦る必要がなく、精神的な余裕が生まれることも山ではリスクヘッジとなります。
欠点として、シングルウォールテントを最小化したような構造で、どうしても結露が発生しやすい。しかし、透湿性のある生地なので休憩ついでにその辺に干せば内部まですぐ乾きます。
※みちのく潮風トレイルで乾かし中のHELIUM BIVY
重量はポールと収納袋込みで実測448g。フロアレスシェルターやタープならもっと軽量な幕はありますが、グランドシートもガイラインも不要でペグ2本(風がなければ刺さなくてOK)だけで運用できることを考えればシステム全体としてかなり軽くてシンプルです。
ビビィの魅力を語るだけでブログ1本分になってしまいそうなので紹介はこの辺に…BAMBOO SHOOTS店頭では実際にビビィに入っていただくことも大歓迎なので、お気軽にお声がけください。
この日の夕方は、御西小屋近くの展望台から山形県小国町方面を埋め尽くす雲海と、新潟県側では日本海へ沈む夕陽を望むことができた。日没後の静かな黄昏時は、山の中で1番好きな時間。1人展望台でボケーっとしてからテン場に戻って眠りにつきました。
〈2日目〉
2日目は日の出ちょっと前からヘッデンを点けて行動開始、飯豊連峰最高峰の大日岳を目指しました。飯豊本山よりも23m高い大日岳は、主脈から外れ往復CT3時間40分のピストン。全山縦走と言いつつ大日はスルーする登山者も多いようですが、360度見渡せる大展望なので登ることをオススメします。
山頂からはモルゲンロートで美しく染まる牛首方面や、磐梯山、燧ヶ岳、日光連山がよく見えます。
振り返って大日岳を見上げると惚れ惚れとする山容、ここから御西小屋に戻りコーヒーを沸かして朝食タイムとしました。小屋の管理人さんときのこや山小屋談義をしながら1時間近くまったり。2日目は朳差避難小屋を目指すのですが、大日岳へのピストン含めCT14時間30分とやや長めの行程、あまりのんびりし過ぎず管理人さんに挨拶をして出発。
常にジリジリ陽射しに晒されると肌がダメージを受けて疲労の原因になるので、 稜線上ではHMGの『ESSENTIAL UMBRELLA』で日陰を作って休憩していました。 ESSENTIAL UMBRELLAは重量195gと軽量な上、 ハイキング向けの傘としては珍しいダブルキャノピー構造で、多少の風は受け流してくれます。平坦な稜線でしたら歩きながらでも問題なく傘を差せます。
山での傘も近年市民権を得てきた感覚がありますが、まだまだ抵抗ある人が多いのも事実。塗る日焼け止めと違って物理的に陽射しをシャットアウトすると体感温度が全く変わりますし、雨の日にテントからトイレへ行く際や、下山後の移動など、短いスパンで雨を凌ぎたい場面って多々あるので慣れてしまうと手放せなくなります。
また、陽射し対策としてはPARAPACK『6P LITE』と『CHAORAS』が個人的にお勧めの組み合わせ。CHAORASは通常の手ぬぐいよりも長く、頭に巻いてもしっかり首までカバーしてくれます。飯豊連峰は冷たい湧き水が多いので濡らして絞って着用していました。6P LITEは後方がメッシュ素材の為、一番熱にやられる後頭部から水分が蒸発していき、気化熱による頭部の冷却効果が抜群でした。
夏場の稜線歩きの際は是非試してみてください。
静かな北飯豊を気分よく歩いていると次々目の前に現れる容赦なきアップダウン。照りつける陽射しと共に体力を削りにきます…
飯豊は殆どの避難小屋に水場があり、冷たい湧水で冷やされたドリンクが無人販売されています。暑くても常に冷たい水を確保できるのは有り難かった。
2日目も14時ごろからガスり始める。天気予報では翌日が雨となっているので、この先は景色の期待ができなそう。ガスったおかげで涼しくなり、写真を撮る頻度も落ちて歩くペースは上がります。小屋まではもう少し…
今回の足元はALTRA『LONE PEAK8』 1シーズン履き倒してソールは結構摩耗していますが、1番履き慣れているこのシューズを選びました。因みにLONEPEAK8の使用レビューは過去のブログに綴っています。クッション性と足裏感覚のバランスがやはり秀逸で、路面の状況が様々変容していく長めの縦走には最適なシューズです。
ボトムスは山と道『Light 5-Pocket Pants』私はオールシーズン長ズボンを履くのでこちらも稼働率が高い。軽いのは勿論、100g台前半のボトムスの中では比較的生地がしっかりしていて、藪漕ぎしても怖くないギリギリの厚みだと思います。
2日目の朝は大日岳へのピストンが酷い朝露で下半身はびっしょり濡れてしまいましたが、日が昇れば体温が奪われる前に乾いてしまう。LONEPEAKは通気性が高く、こちらも完全に水没した状態から半日も履いていれば体温で乾き切りました。
空が少し暗くなってきたあたりで本日泊まる朳差岳避難小屋に到着。飯豊連峰最北の避難小屋で、今回のルート上で最後の避難小屋。私が着いた直後に地元に住む常連の登山者が上がってきました。二階建ての避難小屋をそれぞれ上下に分かれて利用したので殆ど貸切状態。こちらの小屋もトイレと水場があって快適そのもの。晴れていれば山頂から日本海に沈む夕陽を拝めるようです。
〈3日目〉
3日目(縦走最終日)の朝は明るくなりだした頃に出発。ガスと霧雨の間のような中途半端な天気です。始めは霧が濃かったですが、風が強いおかげで瞬間的にガスが抜けて進む先の稜線が姿を現しました。
樹林帯に入ると風は穏やかになり、見事なブナ林の中を歩いて行きます。ここから登山口まで長い樹林帯と林道がダラダラ続きますが、きのこ好きの私からしたら寧ろここから本番。下山までにムラサキヤマドリタケやトンビマイタケを見つけて飽きることなく目を楽しませてくれた。今回は最後の最後まで飯豊連峰を満喫できる山行となりました。
最後は、朳差側の登山口である大石ダムから湯沢温泉の共同浴場まで、舗装路を2時間歩いてゴール。雨と汗で濡れた身体を流してゆっくり湯に浸かった。湯沢と雲母温泉の為にずっと山を歩いてきたと言っても過言ではありません。歩き終えて温泉に浸かっているそばから、次は何処を歩き何処の温泉に足を伸ばすか考えています…
東北地方の山では、これから登山口付近の標高が低いブナ林やミズナラ林の紅葉が見頃を迎える時期です。BAMBOO SHOOTSでは「HYPERLITE MOUNTAIN GEAR」の再入荷があったり、「ENLIGHTENED EQUIPMENT」の新規取扱をスタートさせたり、その他ブランドの秋冬物が揃ってきたタイミングです。秋の山は気温がグッと下がり稜線付近では降雪の可能性もあります。是非秋冬シーズンに備えて山行に応じた道具や服装を検討してみてください。シチュエーション毎のレイヤリングのご相談や提案もお任せください。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
坂本
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