BAMBOO SHOOTS MOUNTAIN JOURNEY vol.2
甲斐一彦が振り返る、アウトドアウェアいまむかし
バンブーシュート・ディレクターの甲斐が、最近どっぷりと山の世界にハマってます。その目的は、楽しいっていうのはもちろんなんですが、バンブーシュートで山の服を作るため。この「BAMBOO SHOOTS MOUNTAIN JOURNEY」では、バンブーシュートが提案する新しい山服のスタイルを構築していく、長い旅を追っていきたいと思います。2回目となる今回は、甲斐一彦のアウトドアウェア遍歴を振り返ってみます。
甲斐:最初はあれですよ。古着屋で働いていたということもあるんですがアメカジ世代なんで、いわゆるヘビーデューティ系。
―ヒッピーカルチャーがバックパッキングと結びついた頃のスタイルですね。
―小林泰彦さんの「ヘビーデューティの本」に出てきそうなスタイルってことですね。
―90年代に入ると、アウトドアのスタイルもガラッと変わりますよね。
―その頃は山に行ってたんですか?
―で、いよいよ甲斐さんがバンブーシュートで働きだした2000年代ですが。
甲斐:初期UL(ウルトラライト)の時代ですよね。うちでやってたゴーライトとかグラナイトギアとか、いろんなUL系ブランドも日本で目にするようになってきました。ショーラーとか、イーベントとか、新素材も次々出てきていたし、立体裁断とかも各ブランドで個性でてきてましたよね。
―この頃から山にも行くようになってきたんですか?
甲斐:そうですね。スタイル的には、マウンテンハードウェアのナイロンシャツを着て、ゴーライトのウィンドシェル。パンツはロイヤルロビンスのカーゴパンツとかですね。足元はモントレイルのトレランシューズ。バックパックはグラナイトギアとかアークテリクスとかを使ってました。
―ロングトレイルって言葉が日本にも広まってきた時期ですよね。
甲斐:そうですね。それもあって、僕の好きなアメリカのカルチャー的な要素がアウトドアの世界にも戻ってきたっていう感覚はありました。この頃は「遊歩大全」とか「ホールアースカタログ」とかを、また読み返してました。
―そして、いまにいたるワケですが。
甲斐:いまはこれまで見てきたアウトドアの文脈を自分なりに再構築してみてる感じです。オーバーサイズのナイロンショートパンツに、メリノウールのポケットTシャツの組み合わせが気に入っています。ちょっとアメカジの雰囲気を持つアウトドアウェアって感じですかね。最近買ったのは「ジョー・ニンブル」ってところのシューズ。ドイツのブランドで、「トーフリーダム」という爪先を締め付けない作りになってます。デザインとか色味が他にない感じも気に入っています。
―こうやって今の甲斐さんのスタイルをみると、シルエットとか旧き良きアウトドアのテイストもけっこう残しつつ、新しい素材や裁断なんかも取り入れてるというミックス感がありますね。
甲斐:そうそう。いろんなアウトドアブランドのカタログがアーカイブされてるサイトがあって、そこをめちゃくちゃ精査してるんですよ。昔のものだからって古くさくなってないものがたくさんあるんです。そこもアウトドアウェアの凄さだなと思いはじめていて、自分が作る山の服とかも、そういう古くなっていかないような、何歳になっても着られるような、そういうものにしていきたいと思ってます。
―え? そんなサイトあるんですか? 教えてくださいよ!
甲斐:秘密です(笑)
illustration竹内 大介 Daisuke Takeuchi a.k.a. daisketchデザイナー・イラストレーター。「GOOUT」「ZOZO」「Fruit of the Loom」などでデザイン・イラストを制作。BAMBOO SHOOTSでは「PH」のグラフィックを担当している。
instagram:@daisketch