BAMBOO SHOOTS MOUNTAIN JOURNEY vol.4

 

 

自分の作るウェアに責任を持つということ

〜後編〜

 

(要するに山で実際に試してみるという回)

 

今回の「BAMBOO SHOOTS MOUNTAIN JOURNEY」は、ディレクターの甲斐が「これまで自身で作ってきた服を実際に山で試してみた」の後編です。前回に引き続き、実際に山で着てみてどうだったのかなどを、コーディネートごとにざっくばらんに解説していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

WORK JACKET - MOLESKIN

WORK PANTS - MOLESKIN

―これはIS-NESSとのコラボアイテムですね。

 

甲斐:そうです。素材は保温性の高いモールスキン。ジャケットはアームホールを大きくしてあって、動きやすい作りになっています。パンツもゆったりめのシルエットですね。

 

―モールスキンってもともとどういう用途だったんでしょう。

 

甲斐:昔、フランスのワークウェアで良く使われていた素材ですね。頑丈で保温性がある、昔の機能素材ですよね。重いですけど(笑)。

 

―山ではどうですか?

 

甲斐:うーん。登山には向かないですかね(笑)。ただ、上品そうに見えますが、自然の中でもガシガシ使える頼もしさ、みたいなものはありますね。汚れてもブラシをかければ落ちるでしょうし。麓から近い山小屋に行くときとかに着てみたいなと思いました。 

 

 

 

 

 

 

 

 

MOUNTAIN TROOPER'S COAT 

LONG SLEEVE FLANNEL SHIRT 

AGGRESSOR TROUSERS

―これはけっこうミリタリーな組み合わせですね。

 

甲斐US ARMYの山岳部隊のコートから着想を得てます。それにファティーグパンツの名品、アグレッサートラウザーズの組み合わせですね。

 

―ボトムの素材が独特ですね

 

甲斐:ベンタイルといって、天然素材なんですが防風、撥水、透湿性をもっています。

 

―アウターのフロントの開閉部分も特徴的ですよね。

 

甲斐:山越えのときになどに寒さや風を防ぐために、二重構造になっているんです。街だとあまり気付かなかったんですが、山で着てみたら予想以上に暖かかったです。このディティールは他のアイテムに流用しても良いかもしれないなと思いました。

 

―中はフランネルのシャツですか。

 

甲斐:これ良かったです。軽くて柔らかい。普通に山でそのまま着たいですね。ボタンを少し大きめにしてあるので、手袋したままでも開け閉めできるようになっています。この素材は今後も注目していきたいですね。

 

―ウールで作っても面白そうですね。

 

甲斐:たしかに。腕周りはYジョイントスリーブという作りにしていて、普通の形に見えて腕も上げやすいんですよ。

 

  

 

 

 

 

 





 

ACTIVE FLEECE HOODED SHIRTS

ACTIVE FLEECE PANT

LIGHT WEIGHT PUFFER VEST

 

甲斐:これはズバリ、山の寝間着ですよ。

 

―柔らかそうなフリース素材ですよね

 

甲斐:シルエット的には昔のトレーニングウェアなんですよ。チャンピオンとかラッセルとか、あの辺りのスウェット上下で昔はジョギングとかしてたわけじゃないですか。

 

―ロッキー・バルボアスタイルですね。

 

甲斐:そうそう。だからテン場で寝間着のまま、うろうろするのにも向いてます(笑)。首の紐もなくしてスナップボタンに変えたり、動きやすくするための工夫もしてます。

 

―甲斐さん、トレイルランの大会でるって言ってましたけど、こういうので走ったら良いですよ(笑)。

 

甲斐:スウェット上下に比べたら、汗も乾きやすいし……。うーん。やめときましょう(笑)。

 

 

   

 

 

 

 

LIGHT WEIGHT PUFFER HOODIE

ACTIVE FLEECE CREWNECK SHIRT

PLEATED CLIMBING PANTS TYPE-2 TAPERED  

 

―このスタイリング、いちばん成立しちゃってるんじゃないですか?

 

甲斐:ある意味、地味でしたね(笑)。パンツをナイロンとかに替えちゃったらストレスなく山も行けますね。

 

―パンツの素材に関しては、今後こうしていきたいとかプランはあるんですか?

 

甲斐:シルエット的にはこれでも歩けることが分かったので、やはり速乾性のある素材にしたいなとは思いますね。ナイロン系になりそうですけど、あまりハイテク感あるものは避けたいですね。中厚くらいがいいのかなぁ。

 

―いまナイロンでもいろんな種類が出てますもんね。アウターはプリマロフト中綿?

 

甲斐:そうです。リブに特徴があってタイトかつサムホールがついています。これが思っていた以上に防寒性がありましたね。中にクルーネックのフリースを合わせたんですけど、レイヤリング的にもピッタリでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ACTIVE SWEAT HOODIE - HEAVY WEIGHT JERSEY

STRIPE QUILTED PUFFER VEST

 

甲斐:内側に着ているパーカーなんですが、ラグビージャージのような素材で作ったんです。

 

―昔のヘビーデューティ系アウトドアと言えば、ラグビージャージですもんね。

 

甲斐:やっぱり頑丈という意味の安心感はありますね。ベストも形はクラシカルなんですが、中身をプリマロフトにしてあります。

 

―パーカーの首周りが面白いですね。

 

甲斐:重ね着してるように見えるでしょ? 登山といえばレイヤリングが大事じゃないですか。それをディティールで表現してみた、という感じですかね。実際はレイヤリングになってないですけど(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

櫻井 卓 Takashi Sakurai
ライター。「TRANSIT」「Coyote」などの旅雑誌のほか「PEAKS」など山の雑誌でも執筆。国内外の国立公園巡りをライフワークとし、これまで訪れた海外の国立公園はヨセミテ、レッドウッド(カリフォルニア)、デナリ(アラスカ)、アーチーズ(ユタ)、グランドキャニオン(アリゾナ)、ビッグベンド(テキサス)
サガルマータ(ネパール)、エイベルタズマン(ニュージーランド)など。とくにヨセミテ近辺は、何度も訪れている。
www.subsakurai.com


木本日菜乃 Hinano Kimoto
写真家。株式会社アマナを経て2020年に独立。現在はフリーランスの写真家として「TRANSIT」「FRaU」「BRUTUS」などの雑誌のほか、GOLDWINと環境省の
WEBサイト「NATIONAL PARKS OF JAPAN」にて、日本の国立公園の撮影も担当。新宿御苑などでの写真展も開催している。
www.hinanokimoto.com