【萩往還】日本海と瀬戸内海を繋ぐ100kmのULハイク〈後編〉
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〈2日目〉
2日目は、萩往還まで戻るところからスタート。この日はなるべく距離を伸ばしたかったのもあり、真っ暗なうちに出発しました。
11月の秋吉台の冷え込みは厳しく、キャンプ場内の自販機で温かい飲み物を買って、体の内部を温めてから歩き出す…。
初日の就寝時には、腹部の保温にクイックハラマキMERINOを装着。2日目の行程でも、起床時より常に身に付けて歩きました。超ULなインサレーションとして有能なハラマキ。就寝時も行動時も数日間常に着用し続けるアクティブインサレーションだからこそ、消臭性や調湿性といったメリノウールの長所をより享受できる。
50g以下の軽さ、着用感と蒸れ感が殆どない薄さ、しかしベースレイヤーと合わせて腹部にメリノウールが2枚来ることで確かな温かさを得る事ができます。
勿論、厚手のオクタやアルファに比べて保温性は低いですが、長い距離を歩く人にとって最適な道具だと感じました。
暗い時間帯は黙々と歩き続け、明るくなる頃には萩往還に回帰。再びの明木を抜けて一升谷に入ります。
標高差300mを登る坂道は「一升の炒り豆を食べ尽くしてしまう程に長い谷」が名前の由来。…と言っても息が上がることのない、終始なだらかな勾配。朝の光が美しい時間帯で、木漏れ日と紅葉と沢水の流れる音に和みながら歩いた。一升谷の石畳は長い距離敷かれていて、江戸時代の面影を残しています。
谷から集落へ出る頃には気温も上がり、シュラフ等を干しつつ休憩。一升谷から佐々並市にかけても、石垣や畦道と気持ち良い芝生のトレイルが続きます。今回歩いた萩往還の中でも個人的にお気に入りの区間。
シンボリックな萩往還の巨大看板を過ぎると、二箇所目の伝健地区、佐々並市にでます。
佐々並市では国道沿いに道の駅があり、ここが2日目唯一の補給ポイント。道の駅で食料を買い、お昼休憩にしました。ご当地サイダーや、行動食用にローカルお菓子を買って出発。この先は萩往還で最も標高の高い板堂峠を目指します。
時間に余裕があれば、板堂峠が登山口となる東鳳翩山へ登りたかったのですが、今回は日の入りの時間が迫っている為スルー。そのまま萩往還を進み登山道を降っていきます。
難所とされる四十二曲がりや六軒茶屋を過ぎれば、広く歩きやすい石畳の道。
ここを降りきると、ゴールの三田尻港まで殆ど舗装路歩きとなります。山口市街地に出る前に日が暮れて、2日目は終了。
この日も冷え込みましたが、初日の秋吉台に比べて温かく眠ることができた。
〈3日目〉
萩往還の53kmだけを歩く場合、日が長い時期なら1日で山口市まで到達できるので、市街地の宿に泊まればより軽装で歩ける。トレイルコース上の街に泊まって、その街で飲んだりゆっくりしてから歩き出すのも、また素敵な楽しみ方。
山口駅と市街地を過ぎると、国道に沿った旧道を進み、防府に向かってひたすら歩き続けます。
今回私は、ソールの薄いトレランシューズで歩き、友人はアルトラのオリンパスで歩きました。トレイルと舗装路を長く歩く場合は、クッション性と安定性の高いオリンパスはやはりおすすめ。私も友人も四国遍路の1500kmをオリンパスで完歩しているので、個人的に信頼度の高いシューズです。
防府市に入り程なくして、国道沿いに右田ヶ岳の登山口が現れます。ここは萩往還のルートではありませんが、眺望がよく登ってみたい山だったので山頂を目指すことに。
岩場の急登や梯子を全身使って登ってゆくスリルあるルート。
低山ながら大展望の山頂。これから行く防府の市街地、ゴールの三田尻港、瀬戸内海までが一望できます。(ザックの後ろの黄色いものは、外付けして乾かし中のシュラフ)
下山して見上げると、防府のランドマークなのも頷ける惚れ惚れする山容。登山口が萩往還に接しているので、時間に余裕があれば、ゴールまでを俯瞰できておすすめです。
山中でも市街地でも終始しっかりと道標があった。地図を確認しなくても殆ど迷うことはありません。
日本最初の天神さまである、「防府天満宮」へお参り。ちょうど菊花展の開催期間中で見頃を迎えていました。
萩市、山口市、防府市でそれぞれアーケード商店街を通りますが、いずれも萩往還の正式なルート。…と言うよりも、街道筋沿いに商店街が形成されていったのでしょうね。秋の西陽が射す商店街はノスタルジックな雰囲気。
ゴールは明治時代の石造灯台が残る三田尻港。総距離101km、累積登り標高3802mの道のりを辿って萩往還を完歩しました。かねてより気になっていた長州の古道、日本海と瀬戸内海を歩きで繋げた感慨は深い。
駅の近くの喫茶店で食事をして、防府の街を後にしました・・・
山口の旅はこれにておしまい。
〈あとがき〉
今回は、萩往還+赤間関街道+秋吉台+右田ヶ岳のルートだった為、100kmの道のりを2泊3日で歩いてきました。ザックは前回同様HMGのDaybreak。シュラフのグレードを実験的に下げて歩くことで、この時期でも17Lザックに収まりました。
個人的に調子がいいなと感じた道具は、今期よりbamboo shootsで取り扱いのスタートした、PARAPACKより6Pキャップ。
37gと超軽量で2つ折りの6Pは、PARAPACKの中で最も薄くなるので、ザックのサイドポケットやファニーパック内で場所を取らずにスッと収まる。いくら軽く通気性が良くても、日陰を歩く時はキャップを脱いでいたい私にとって、すぐに仕舞えて着脱がしやすくフィット感も抜群なこのキャップは理想的でした。
秋から冬にかけて山がグッと寒くなるこの時期は、身近な低山や旧街道に目を向けてみるのは如何でしょうか?
ここまでご覧いただきありがとうございました。 坂本
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