【萩往還】日本海と瀬戸内海を繋ぐ100kmのULハイク〈前編〉

こんにちは、BAMBOO SHOOTSスタッフの坂本です。


今回は、山口県の古道「萩往還」を2泊3日で歩いてきました。

山好きの方にも、街道歩きやロングトレイルに興味のある方にも幅広くお勧めできる、歩きやすくて雰囲気ある素晴らしいトレイルでした。使用したギアのレビューを交えつつ、歩いた様子を紹介したいと思います。

よろしければ最後までお付き合いください。

萩往還 街道歩き 古道 山口 ロングトレイル ULハイク

…萩往還とは?
萩往還は、毛利氏が慶長9年(1604)萩城築城後、江戸への参勤交代での「御成道」として開かれました。日本海側の萩と瀬戸内海側の三田尻港をほぼ直線で結び、全長はおよそ53km。江戸時代の庶民にとって山陰と山陽を結ぶ「陰陽連絡道」として重要な交通路であり、幕末には、維新の志士たちが往来し、歴史の上で重要な役割を果たしました。

萩往還には、人馬の往来に必要な一里塚や茶屋跡、通行人を取り締まる口屋跡が残っています。大部分は公道として現在も利用されていますが、起伏の激しい山間道の中には廃道となったものもありました。そこで、近年これらを保存し、後世に伝えていくために整備が進んでいます。(※萩往還観光誘致制度創設委員会の運営する萩往還ホームページより引用)

↑のページよりマップをダウンロードできるので、私も活用しました。コースタイムの目安も書かれていて非常に参考になります。

萩往還 ロングトレイル 山口 山陰 山陽※今回歩いたルートのGPSログ

 萩往還以外に、萩と下関を結ぶ「赤間関街道」という、他の古道にも興味があったり、往還の道中には登りたい山のピークも…。せっかくなのでそれらを繋いで歩いたところ、「萩往還」「赤間関街道」「中国自然歩道」「秋吉台」「右田ヶ岳」を辿って日本海から瀬戸内海へ繋げる行程となり、最終的には100kmを越える歩行距離となりました。

萩往還の起点は萩城跡、なので最寄駅の玉江駅をスタート地点としました。私自身このすぐ近くに住んでいたことがあり懐かしい景色…。
日本海より中国山地を越えて瀬戸内海を目指すので、海を拝んでからゆくことに。

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萩市には京都市と並び全国最多の四ヶ所の伝建地区があり、その内二ヶ所が萩往還のルートと接しています。

萩城からすぐ近い堀内伝建地区は、漆喰の白壁が建ち並ぶ。そんな風景によく映える、山と道の赤いMINIを背負うのは今回の同行者。

北アルプスの山小屋で一緒に働いていた同僚であり、山口に住む彼は、私と同じく四国遍路も歩いている。お互いに萩往還と遍路道やその他の古道と比較しながら歩いた。

萩往還 唐樋札場跡高札場 萩市 古道 街道

堀内伝健地区と田町商店街のアーケードを過ぎると、唐樋札場跡高札場に出る。萩市街地の中心に位置するこの場所は、萩往還、赤間関街道、石州街道の起点となっています。ここで初めて萩往還の概念図や道標が出てきます。

萩往還 涙松 吉田松陰 萩市 街道 古道

萩市は阿武川の三角州上に形成された街なので、市街地から1時間歩けば山地へと入ります。

大部分が舗装路歩きのセクションですが、県道や国道に沿った旧道を歩いて行くので、ローカルな街歩きを楽しめる。

萩の街並みが見えなくなる見納めの地「涙松」安政の大獄で江戸に送られた吉田松陰もここで一句詠んだと言われています。

萩往還は、道の分岐点に必ず看板が立っているし、トレイル上には石柱の道標が細かく設置されています。峠の前後には殆どトイレ付きの立派な東屋があり、整備の行き届いた親切な道だと終始感じました。

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今回は飛行機で山口へ行ったので、手荷物で持ち込めるDaybreakはやはり使いやすい。がっつり山用っぽくないデザインが、街と自然を繋ぐアクティビティに合うと改めて感じました。

舗装路からよく踏まれたトレイルに入り程なくして、幕末の志士達が迎えてくれる道の駅に出ます。補給や休憩を取りつつ再びトレイルに入る様子は「道の駅熊野古道中辺路」に似ているなと思った。この道の駅の名も同様に、古道の名を冠した「道の駅萩往還」

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道の駅の敷地内から登山道に入り峠を越える。

枯葉の乗った石畳はよく滑るので慎重に。萩往還はオフロードの区間も、登山道と言うより、大体は林道や畦道や石畳の道となっているので。道が不明瞭で迷いやすい場所や、身体的にハードな急坂は殆どありません。

秋晴れの日に気持ちよく静かに歩いたり、仲間と話しながら歩くには最適な道。

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川沿いの土手や、石州瓦の家屋が美しい長閑な里山の中を歩いていると、急いで歩くのが馬鹿馬鹿しくなってしまう。

巡礼路と違い、生活路として地域に根付いた道なんだと感じる風景。

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明木を過ぎたあたりが萩往還との分岐となっている為、赤間関街道と中国自然歩道を経由して秋吉台を目指します。

カルスト台地で夕陽を見て、秋吉台のキャンプ場で寝るのが本日のゴール。

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萩往還こそ長州の主要な街道としてメジャーな存在ではあるが、赤間関街道もしっかりと整備されていました。萩往還同様、赤間関街道でもマラニック大会が定期的に開催されているようで、道の保全や整備に力を入れているようです。

萩から下関までの124km、bamboo shootsではトレランの熱も高まっているので、私も是非マラニック大会に機会があれば参加してみたいですね。

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赤間関街道でいくつかの峠を越えた後は、中国自然歩道を通り、本日の野営地「秋吉台リフレッシュパーク」へ。秋吉台の麓で良心的な料金でテントを張れ、夜まで入れる温泉と食事処が併設されています。

広い自炊場もあり、ゴミの処分も可能なので、ハイカーにとってはこの上なくありがたい施設。

友人はPre Tentsを張り、私は隣でポンチョタープ。この日の美祢市の最低気温は5度。標高のあるこちらのキャンプ地では2~3度まで冷え込みました。

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キャンプ場でのんびりしてから、秋吉台のとあるピークへ登った。秋めくカルスト台地は、ススキで溢れて黄金色の黄昏時。一日歩き続けたご褒美のような美しさでした。この景色と温泉付きのキャンプ場に魅力を感じ、萩往還から逸れて足を伸ばした甲斐があります。

日の入りの時間にもドンピシャで、コーヒーを飲みながら夕陽が沈み切るまで眺めていました。急激に冷え込んだのでインサレーションを羽織って、ヘッデンを点けて真っ暗な樹林帯を下山。

秋吉台 星 キャンプ

キャンプ場に戻る頃には完全に真っ暗で、星が美しく夜空に広がっていました。放射冷却で気温がどんどん下がる中、食事を作り掻き込む。(温泉施設内の売店と食事処は臨時休業でした)

広い温泉にゆっくり浸かって、筋肉を入念にほぐす。温泉が気持ち良い程にこれから外で寝るのが憂鬱になってきます…。

外に出ると吐く息は白く、この時点で気温は一桁台であろう寒さ。タープとテントはすでに結露でビチョビチョに。

アクシーズクイン 凌 カルフワタオル インサレーション

 前述の通り、最低気温は2度~3度まで下がりましたが、私が使用したシュラフはダウン量100gで快適使用温度が14度のもの。今回のこの気温は想定内で、道具の工夫でどこまで耐えられるか確かめたくこのシュラフを選びました。

エスケープビビィと合わせても寒いので、上半身はインサレーションを着て、足元はカルフワタオルで包み込んだ。134cmとバスタオルに近い長さがある為、両足の膝下をカバー出来ます。スナップボタンを付けることで、寝てる間に脱げる事もないし、肩掛けする際も落ち難くなります。2組のボタンを付けても1g程度の重量増なのでおすすめな使い方。

足の裏は発汗量の多い場所。汗をよく吸い上げるオクタのタオルは、足先の汗冷えを防ぎ効果的に保温してくれます。

重量も55gと、おまけで貰えるような薄いフェイスタオルと同程度なのに、バスタオル並みの大きさ。休憩時の膝掛けやマフラーは勿論、局部のインサレーションとしてマルチに活躍するので。普段使うタオルの代わりに忍ばせておくと寒さを凌げ、シュラフのグレードを下げて軽量化に繋がります。

今回のように、気温0度までの想定で、100km程度の行程でも、ちょっとした道具の差し替えでベースウェイト3.5kg(着替え込)まで抑える事も可能です。当店にはユーザーのアイデアを刺激するような小物も数多く取り揃えておりますので、掘り出し物を探す感覚でお気軽にお越しください。

2日目以降の様子は【萩往還】日本海と瀬戸内海を繋ぐ100kmのULハイク〈後編〉に記してゆきます。

ここまでご覧いただきありがとうございました。