《HMG WAYPOINT レビュー》高野山町石道と幻の熊野古道奥辺路

こんにちは、BAMBOO SHOOTSスタッフの坂本です。

 今回は、Hyperlite Mountain Gearより2024年の新作バックパック、【WAYPOINT 35 / ウェイポイント 35】のレビューをしていきます。

 同社のフレーム入りバックとしては最小&最軽量モデルであり、新しく開発された幅広のショルダーベルトが搭載されています。本体容量35Lと、ULスタイルでのテント泊に使いやすいサイズで今季最注目のモデルです。

既に当店で実物に触れたり背負ってみた方もいるのではないでしょうか?しかし、まだまだレビューは少なく、使用感やディテールが気になっている方も多い筈…。今回は、実際にWAYPOINTで高野山町石道と熊野古道奥辺路の110kmを3泊4日で歩いてきたので、使ってみて気付いた点やパッキング例を紹介していきますね。

HMG WAIPOINT 35 レビュー ハイパーライト テント泊
【今回のルート】
熊野古道 奥辺路 高野山町石道 小辺路 中辺路 伊勢路 地図
上図(※スーパー地形より引用)の赤い線が今回歩いたGPSログ。青い線は私が今まで歩いた熊野古道。大峯奥駆道、紀伊路、伊勢路、大辺路、中辺路、小辺路と全ての道を踏破したので、今回は以前より興味を抱いていた幻の熊野古道を選びました。
長らく歴史に埋もれていた奥辺路は、2018年頃より有志によって道標の設置や登山道整備がされ始めました。まだまだマイナーなこの道は不明瞭な箇所や崩落が多く、木々を潜り抜けるような場面が多々あります。従来のWINDRIDER等と違い、細身でコード類が少ないWAYPOINTは引っかかりづらく、道幅が狭い日本の山道と相性が良いように思います。
個人的にもう少し長く歩きたかったので、高野山町石道から登り始めることに。高野口駅から熊野本宮大社まで総距離110km、累積標高は登り6786m、3泊4日の行程となりました。途中の道の駅や商店で補給はできますが、しっかりと重量を背負ってテストする為、4日間無補給で歩ける食料を積んで行きます。装備は下記の通り。
【WAYPOINT35パッキング例】
WAYPOINT ハイパーライト パッキング テント泊 レビュー2.トレッキングポール/3.晴雨兼用傘/4.レインウェア/5.日焼け止め、目薬、リップクリーム/6.歯ブラシ、スキンケア用品、除菌シート/7.ファーストエイド/8.食料、燃料/9.着替え、タオル/10.エアマット/11.モバイルバッテリー、ヘッドライト等/12.三脚/13.シュラフ/14.ビビィサック/15.クッカー、ストーブ/16.水筒、浄水器 ※水、食料、燃料MAXのパックウェイトで8.2kg。
着替えは下着からシャツまで全身一式、行動食も最終的に余るくらいの量を持ちました。これらを詰めてもまだ7~8Lは入りそうな余地がある。本体容量35L+外ポケット6.5Lが公式値ですが、HMGのバックパック全般数値以上に入る印象があります。
HMG WAYPOINT35 レビュー テント泊新しいショルダーベルトを試す為、ウエストベルトとアルミステーを取り外し完全肩荷重のスタイルでいきました。これらを外すと666gの重量から実測495gまで軽くできる。40Lクラスで防水のバックパックが500gアンダーは相当軽い部類。背面にクッションが入っているので、ウエストベルトとステーを抜いて平たくすれば、寝る時に足元のマットとしても運用しやすい。
私は歩荷をしていたので肩が人より少し強く、基本的に肩荷重のバックばかり使っています。その中でもWAYPOINTの幅広なショルダーは明らかに重さが分散される感覚があり、10kg程度は肩だけで気持ち良く背負える。勿論、背中に沿った形のステーとウエストベルトを付ければ、それ以上の重量を上半身全体で快適に背負えます。
【ショルダーポケットの収納力】
WAYPOINT35 レビュー ダイニーマ ポケット DCHショルダーポケットは他ブランドで増えてきてる仕様ですが、HMGでは初採用。ベルトが広くなったことによりポケットを付けても中身がブレにくくなっています。実際に何が入るかというと左上から…
①RICOH GR(ケース込み)②HMG STUFF SACKS NANO(日焼け止め、目薬、リップ)③iPhone12(最新モデルも◎)④保温ボトル(200ml)
これらは全てコードを締めてポケット内に完全に収められます。ストレッチメッシュとタック入りの構造で見た目以上の収納力があり、500~700mlのペットボトルも入りますよ。
普段はファニーパックにコンデジを入れていますが、ショルダーポケットはより邪魔にならずアクセスしやすい。スナップ撮りながら歩くスタイルにおいてGR×WAYPOINTは私の最適解かもしれない・・・
【高野山町石道】
高野山 町石道 世界遺産 熊野古道 ロングトレイル高野山 町石道 熊野古道  新緑 登山道町石道は180基残る町石沿いに登る高野山の参詣道。よく整備された世界遺産の道ですが、距離22km標高差800mあり意外とキツい。
ヒメシャラやコナラの新緑が芽吹く季節は登りで汗ばむ。背中の蒸れが気になる方もいると思いますが、当店で取り扱いのある山と道 DF Mesh Merinoのようなメッシュ系のインナーと合わせることで不快感は軽減できます。
防水バックの蒸れは宿命ですが、保水しないことでバック本体が重たくならない&臭いにくいメリットがあります。
高野山 町石道 世界遺産 熊野古道 ロングトレイル 石畳高野山 町石道 世界遺産 熊野古道 トレイルHMGではUNBOUNDからフロントポケットにストレッチメッシュが使われるようになりました。ダイニーマ糸が格子状に入っていて耐久性も高く、程よいキックバックで入れたものを適度に固定してくれる。容量はシェルターとレインウェアを余裕で飲み込んでくれるサイズ感。
サイドポケットはペットボトル2本が入る大きさで、こちらもダイニーマグリッドストップ。PUコーティングされてない分軽く劣化の心配もない。サイドポケットはコーティングの必要性低いですし、素材が適材適所よく考えられています。グリッドは白から黒になったことで従来の生地より引き締まった印象。パーツの少なさや細いシルエットも作用して、一段とスタイリッシュ。個人的にこのミニマルなビジュアルは好みです。
6箇所あるループにバンジーコードを通せば、濡れたウェアやロールマットを外付けできるようにカスタム可能ですよ。高野山町石道 熊野古道 世界遺産 ロングトレイル 巡礼高野山町石道 熊野古道 世界遺産 ロングトレイル 巡礼高野山のシンボルでもある大門に辿り着けば町石道のセクションは終了で、ここからは熊野古道奥辺路。初日はこの先で行動を終えました。
初日と2日目の夜は小雨が降り、今回のビビィ泊ではWAYPOINTを敢えて外に放置(普段は中に入れます)一晩雨に打たれ濡れても中まで染みることはありませんでした。ボトム以外しっかりシームされていますし、DCHの防水性は言わずもがな。
【熊野古道奥辺路】
熊野古道 奥辺路 ULハイク テント泊 ロングトレイル奥辺路 登山道 トラバース 踏み跡 不明瞭奥辺路はまだ知名度も低く、人と会うことはありませんでした。踏み跡も薄く、不明瞭な箇所が多くて迷いやすい。他の熊野古道より人気が無く野生味あるルートは、紀伊半島の真髄といった雰囲気で個人的に大好きです。
撮影する使命があるので何回も三脚で自撮りをし直したり、コーヒーを淹れたりしながら、一人の時間を楽しんで黙々歩いた。
DCF レインスカート MYOG UL レインキルト奥辺路 崩落 土砂崩れ 林道 通行止め 迂回路2日目は雨が降ったり止んだり不安定な空模様。奥辺路は森林限界以下なので今回はレインスカートで行きました。DCFでMYOGした30gのスカート、寸法やギミックを参考にしたULAのレインスカートは当店で5月再入荷予定です。
雨と土砂災害の多い紀伊半島、熊野古道も例に漏れず影響を受けていて、今回のルートでは町石道が一部通行止めで迂回をし、奥辺路は登山道も林道も荒れ気味。
木々を避け、土砂を越え、崩れた箇所を慎重に歩く…。冒頭で触れた通り、細身でコードが少ないおかげで引っかけることなくストレスフリー。
HMGのロールトップ式のバックは、サイドでそれぞれバックルを留める様になっています。このタイプで藪漕ぎすると引っかけることがあるし、単純に開閉の手数が増えるから少し苦手。私は先に開口部同士のバックルを留めた後にロールしています。両サイドのバックルとテープはUNBOUNDみたいに外せる仕様だとよかったと思う。
上部はY字のストラップで締めるから、ここだけでもしっかり縦方向のコンプレッションは効きますよ。
護摩壇山 道の駅 ごまさんスカイタワー 奥辺路奥辺路 近畿自然歩道 紀伊半島 テン泊 ロングトレイル和歌山県最高峰の龍神岳、護摩壇山の登り口には道の駅「ごまさんスカイタワー」があります。ガスガスで併設された展望台には登らず休憩のみ。
4月上旬、1000m以上ではまだ葉が出てなくて色のない世界。
熊野古道 奥辺路 ロングトレイル テント泊 ULハイク熊野古道 奥辺路 ロングトレイル テント泊 ULハイク護摩壇を過ぎた辺りから木製のOKUHECHIプレートが出てくる。まだ新しそうで、現在進行形で整備を進めていることが窺えます。今後もっと歩く人が増えてきたらいいですね−。
昼から本格的に雨が降り出し翌朝まで止まない予報。日没ギリギリまで山を歩き、鞍部のフラットな場所にビビィを敷いて眠った。
熊野古道 奥辺路 ロングトレイル テント泊 ULハイクHyperlite Mountain Gear WAYPOINT レビュー HMG3日目の朝は雨が止むまでビビィに閉じ籠り遅めのスタート。
WAYPOINTのフロントは網目の粗いメッシュと違って、雑にシェルターを突っ込んでも中身が見えず、纏まって見えるからだらしなくない。その分通気性や乾いていく感覚は殆どないですけど。フロントポケットの上部はバックルで留められるので、沢山ものを入れてもメッシュが伸びてズリ下がることを防いでくれます。
山を降りると陽も出てきたので、河原でビビィを乾かしながらコーヒーを淹れて朝食タイム。
熊野古道 奥辺路 大熊 龍神村 龍神温泉 巡礼路 集落熊野古道 奥辺路 大熊 龍神村 龍神温泉 巡礼路 集落 桜やはり歩く人が少なく珍しいのか、集落に出ると地元の方に話しかけられた。奥辺路のことを話したり聞いたりして、庭先にジャージャー流れている沢水を汲ませて頂きました。この水がめちゃくちゃ美味しかった
龍神村には温泉も道の駅も商店も揃っていて、補給したり休むのに最適です。小辺路で言えば十津川温泉のような、登山道セクションの合間のオアシス。熊野古道 奥辺路 龍神村 龍神温泉 巡礼 元湯 日帰り温泉HMG ハイパーライト レビュー ウェイポイント 35 バック龍神温泉には朝7時から開いてる日帰り温泉があるので、3日ぶりに汗を流した。身体をほぐしながら温泉に浸かると疲れが取れてリセットされる。熊野古道は大峯奥駈道以外なら何処かしらお風呂に入れます。
風呂上がりに売店で買ったアイスを食べながら地図と睨めっこ。ここから二つ山を越えたらいよいよ果無山脈。奥辺路で最も長い縦走路です。
熊野古道 奥辺路 龍神村 巡礼路 縦走 果無山脈 果無熊野古道 奥辺路 龍神村 巡礼路 集落 バックパック龍神村から果無峠まではしっかりと奥辺路の道標が建てられています。三ツ又から先の丹生ノ川は5km程川沿いを歩く区間で、テープを確認しながら何度も川を渡る。ここも分かりにくい箇所がいくつかあります。
果無山脈は20km、コースタイムで10時間越えの縦走路。途中に水場が無いので、登り始める前にボトルを満タンに。荷重が一気に増えても肩が痛くならずに安定して背負えることを再認識。
果無は名前の通り長い山脈ですが、よく踏まれた稜線は歩きやすくてサクサク進めます。
果無山脈 紀伊半島 伯母子岳 八経ヶ岳 大峰山脈 縦走果無山脈 ロングトレイル HMG ULハイク レビュー テン泊稜線上の展望ポイントからはこれまで歩いてきた護摩壇山をはじめ、奥辺路の山々が見渡せます。さらには小辺路の叔母子岳、大峰山脈…紀伊半島の山深さには毎度目を見張るし、何度通っても歩きたい道が尽きません。
時期的にGWはオススメなので、連休どこへ歩きに行くか悩んでいる方、熊野古道に興味ある方はBAMBOO SHOOTSにて私がご案内しますよ。全ルートの野営場所や装備の相談等もお気軽に。
山と道 HMG バンブーシャツ ノースフェイス 熊野川熊野古道 熊野本宮大社 大斎原 奥辺路 世界遺産 鳥居最終日。山を降り、熊野川沿いにロードを進み、最後に中辺路石畳道を歩けばゴールの熊野本宮大社。何度もここを目指して歩いているけど、やっぱり本宮大社と大斎原に着いた時のゴール感、達成感は格別。「蟻の熊野参り」と言われた時代から日本人に染み付いている感慨でしょうか…。
さて、ここまで110kmを共に歩いてきたWAYPOINT。肩の痛みもコリもなく、使用感はすこぶる好調。HMGのULバックの中では最も背負い心地が良い。ショルダーベルトの太さが影響しているのは勿論、従来のモデルよりもベルト同士の間隔が狭く、より小柄なアジア人に合っているのだと推測できます。
また、クライミングバックのように細身のシルエットとWINDRIDERより薄いマチは、身体の近くに重心がきてブレも少ない。ウエストベルト&ステー込みでしっかり背負い歩くも良しですが、個人的には両方取って、10kg以下で身軽に歩きたくなるバックパックでした。
懸念点として、ポケットの水抜き穴が小さくボトムがシームされていないので、時間雨量20mmを超えるような雨で行動し続けると、ポケット底部の縫い目から浸水する可能性が高い。以前もその様な経験がありました。
それでもボトムに入れたものがしっとり湿る程度だったので、防水性の高いロールトップサックを一番下にパッキングするか、素直にパックライナーを使うかで対策できます。
MYOG DCF スタッフサック ロールトップ HMG UL私の場合は、着替え入れ用にDCFでMYOGしたロールトップサックがシンデレラフィットでした。HMG純正のROLL–TOP STUFF SACKだと10Lが丁度いいのではないでしょうか?こちらも5月入荷予定です。
ボトム以外はしっかりシームされているのも写真から分かると思いますし、作りの良さは折り紙付。
生地も両色共通で50D(ボトムは150D)が使われているので、重さや値段が変わらず単純に好みで選べるのも嬉しいですよね。バックパックに使われる生地として50DのDCHは軽さとのバランスが良く、十分な強度を持っています。
背負い心地の良さは体験していただければ伝わると思いますので、Sサイズ/Mサイズ、ウエストベルトのあり/なし、BAMBOO SHOOTSにてウェイトを入れての背負い比べ大歓迎です。
各色、各サイズ、5月に再入荷予定となっておりますので、今年の夏山テント泊やULなロングトレイルに向けて大本命のバックパック、ぜひ一度試してみてください。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
坂本

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