BAMBOO SHOOTS MOUNTAIN JOURNEY Vol.31
「甲斐の気になるお店探訪」
#03 NATURAL ANCHORS
20年以上バンブーシュートのお店に立ってきた現ディレクターの甲斐ですが、その原点とも言える実店舗の重要性を再び見直していると言います。この「甲斐の気になるお店探訪」シリーズでは、甲斐自身が気になっているショップを訪ね、その店の人や空気感、そこに流れるカルチャーに触れていきます。今回お邪魔したのは長野市の「ナチュラルアンカーズ」さん。同店主催のイベント「YAMASAI」にいたく感動した様子で、今回はお店にお邪魔させていただくことに。イベントと同じように、店内にもどこか肩の力が抜けた心地よい空気が流れています。店主の戸谷悠さんを交え、ショップのこと、クライミングのこと、そしてこれからの山の服について話を聞きました。
戸谷さん:甲斐さんがうちの店を知ってくれたきっかけって、なんだったんですか?
甲斐:3年前に戸隠のトレイルランレースに出たときに、一緒に出た知り合いがナチュラルアンカーズさんのことを知っていて、それでレース後にナチュラルアンカーズさん主催のYAMASAIに遊びに行ったのがきっかけです。YAMASAIはいつからですか?
戸谷さん:いまの会場のnagano forest villageでは5回。その前にお店で2回やってたので7年前からですね。もともとは、うちで扱っているブランドの作り手さんとお客さんが、交流しながら買い物ができる場を作りたいというのがスタートでした。ちなみに甲斐さんから見て、YAMASAIはどうでした?
甲斐:すごく空気感が良くて。お客さんとお店側に距離感がないしフラット。しかもショップが主催っていうのにも驚いて「どんなお店だろう」ってずっと気になってたんです。バンブーシュートとしても、イベントはやってみたいんです。でも、東京って難しいんですよ。ビジネスモードになるスピードが速いというか。派閥も生まれやすいですしねえ。
戸谷さん:うちの場合は、扱わせてもらってるブランドさんに声をかけさせてもらってる感じなので、もともと仲が良いというか、方向性が似てるところが集まっている感じはありますね。

甲斐:カンパイギアワークスさんとか、三俣山荘とか、YAMASAIきっかけで仲良くなれたところも多くて、そういう輪が広がっていくイベントって素敵ですよね。それで実際にお店にお邪魔してみたら、やっぱりすごく良い。
戸谷さん:おー、うれしいです。ちなみにどのへんが良いですかね?
甲斐:陳列の仕方が僕好みというか。綺麗なんですが、クライミングギアで吊ってあったり山屋さんっぽさもある。什器もセンスが良いし、陳列に高低差がある感じも楽しいですよね。
戸谷さん:そのへんは全部、妻がやってくれてます。 アパレル経験があったり、学生の頃に空間デザインを学んでいたようで。
甲斐:そうなんですね。センスが素晴らしいです。僕はディスプレイとか見よう見まねでやってたんで。ボルダーにネプチューンマウンテニアリングっていうお店があるんですけど、そこを真似したり。

戸谷さん:長野市に情報発信するような 場所があまりなかったというのもあって、ビンテージ家具屋さんと、カフェをやっている仲間で、ここの場所を借りたという経緯があって、お互いいろいろ協力しながらやってます。
甲斐:若い人が入って来やすい明るい雰囲気もありますよね。自分たちの世代って、怖い店ほど格好いい的な感じもあったんですけど、ナチュラルアンカーズさんみたいな気軽に話しができるお店ってやっぱり居心地がいいですね(笑)。
戸谷さん:ずっとバンブーシュートを見てきた甲斐さんにそう言っていただけるなんて、光栄です。
甲斐:戸谷さんはクライミングがお好きということですが、実は僕が最初にはじめたアウトドアアクティビティってクライミングなんです。戸谷さんはクライミング初めてどのくらいなんですか?
戸谷さん:25年くらいですかね。カナダのスコーミッシュで1年くらいクライミングバムやったり、ニュージーランドで登ったりもしてました。
甲斐:僕はクライミング自体はそんなに上手くなれなかったんですが、クライミングカルチャーはずっと好きなんです。ダン・オスマンとかを知って、そこから70年代、60年代のクライマーの写真集なんかを買って、いろいろ参考にさせてもらいました。
戸谷さん:甲斐さんがいま作っている山の服のディティールなんかも、昔のクライミングカルチャーから来てる感じがありますもんね。
甲斐:そうですね。最初期のグラミチとか、ヴァーブとか、ワイルドシングスとか、そのあたりはアーカイブしていて、いま作ってる物にフィードバックしてます。
戸谷さん:クライミングの思想って、いまのハイキングカルチャーに通じるものもありますしね。
甲斐:そうなんですよ。自由さとか、自分の身体を使って自然に対峙する感じとか、そういうものは共通するなと。ナチュラルアンカーズっていうお店の名前も、完全にクライミングですもんね。
戸谷さん:そうですね。ロッククライミング用語で、岩を傷つけずに登るための支点という意味です。

甲斐:セレクトにもクライミング要素がありますよね。ハーネス置いてありますもんね。
戸谷さん:ちょっとですけどね。自分のバックボーンはお店に入れて置きたいなあと。
甲斐:クライミング文脈で考えると、今作ってる山の服も、コットンのものを出してみるっていうところは、悩み所でもあるんですよね。
戸谷さん:どうやって今の時代に落とし込むかですよね。履きこんだコットンパンツって、クライマー的にはかなりグッときますけど。
甲斐:もう一回、コットンの時代来たりしないですかね。デニムのクライミングパンツとかも作ってみたいんです。山に登る人の普段着っていうテーマで作るとか。山に行くときは化繊ですけど、普段街に居るときはやっぱりコットンが心地良いよね、みたいな持っていきかたとか。
戸谷さん:それ良いですね。普段着でも山好きを主張できつつ、着心地はコットンみたいな。
甲斐:そういうスタイルを生み出せないかなと。もし実現できたらYAMASAIでお披露目して、反応を見てみたいです。
戸谷さん:ぜひ! 楽しみにしてます。

■NATURAL ANCHORS
〒380-0907 長野県長野市鶴賀緑町1607 シンリョービル2F
営業時間:平日 12:00〜18:30 / 土日祝日 11:00〜18:30
定休日:月・火(祝日営業の場合変動あり)
Text/Takashi Sakurai
