【HMG NEW DAYBREAK22 レビュー】in銀山街道

こんにちは、BAMBOO SHOOTSスタッフの坂本です。

当店で取り扱うHyperlite Mountain Gear(ハイパーライトマウンテンギア)の中で高い人気を誇るDaybreak(デイブレイク)、山からデイリーまで使いやすいサイズとデザインで多くの支持を得ています。そんなDaybreakがアップデートを遂げ、さらに使い勝手が良くなりました。私自身旧モデルを愛用していますが、新モデルを試す機会を得たのでレビューしていきたいと思います。

歩いた舞台は「銀山街道」およそ400年前、徳川幕府の天領となった大森銀山(石見銀山)から産出した銀を運ぶ為に広島県尾道港から島根県温泉津港まで整備された、山陽と山陰を結ぶ150kmの街道。今は殆どが車道に置き換わっていますが、一部の山道や宿場で昔の姿を留めている。

今回歩いたGPSログ(スーパー地形より引用)
当初は銀山街道だけを歩く予定でしたが、せっかくなので三瓶山に寄り道して縦走することに。その為、距離と日数が伸び200kmの距離を4泊5日で歩いてきました。参考までにDaybreakで5日間トレイルを歩いた今回のパッキングを紹介します。


1.着替え、手拭い/2.ファーストエイド/3.カメラ、カメラバッグ/4.ポンチョ/5.文庫本/6.地図/7.歯ブラシ、スキンケア用品/8.食料(3日分)/9.クッカー/10.エアマット/11.モバイルバッテリー、ヘッドライト、エアポンプ等/12.シュラフ(10℃対応)/13.晴雨兼用傘/14.ビビィ/15.ウォーターキャリー、水筒
以上のベースウエイト(水、食料、燃料、カメラ抜き)は3kg、食料は途中で補給できるので3日分だけ持つことにしました。ザックの本体容量が17L→22Lへサイズアップしたのでこれでもまだ余裕があり、5日間無補給でもいけそうです。
本体容量が増えてPCスリーブは17インチまで対応に、そしてフロントジッパーポケットが追加されたのに重量は軽くなりました。収納式だったウエストベルトが取り外せるテープベルトに変更されて、ベルトを外すと実測516g。さらにショックコードも外せば、ビジネスシーンに合わせやすいミニマルなフェイスとなって重量は500gを切る。さすがはHMG、軽量化に余念がない。


また、旧モデルと比べると拡張性が高くなり、フロントのループにストラップを付ければサイドポケットに差した長物の固定もできますし、メッシュポケット下部のデイジーチェーンとボトムのループにショックコードを通してマットを外付けすることも可能です。個人的にいかにもデイリーな見た目のザックにマットを外付けするアンバランス感が好き。今回のトレイルではザック本体の収納力を試したかったのでエアマットにしました。
ここからは歩いた銀山街道の様子や着用アイテムも一緒に紹介していきます。


いつもの如く退勤直後に夜行バスで岡山に向かい、翌朝JR山陽本線でスタート地点の尾道へ移動しました。春らしい陽気の瀬戸内に心躍らせるも私が目指すのは日本海、名残惜しくも瀬戸内海に背を向けて北へ向かって歩き始める。だけどまずは腹を満たさなくては、尾道に来ると必ず立ち寄るお気に入りの階上喫茶でモーニング。濃いめのコーヒーでばっちり目が覚めた。

尾道水道と坂の上の千光寺…そんな風光明媚な港町のイメージですが、山が海に迫った尾道は沿岸部を抜けるとすぐに中国山地らしい長閑な里山風景が広がっています。

銀山街道を歩いていると、道が交わる箇所で度々「辻堂」と呼ばれる東屋を目にする。辻堂は運上銀を運んだ人々が休憩した場所で、私も辻堂に出会う度に腰を下ろして地図を確認したり休んでいきました。右に見える立派な常夜灯は江戸時代のもので、辻堂と同じく街道中に何基か現存していた、舗装路を歩く区間でも辻堂や常夜灯が当時の面影を今に伝えています。

シューズは今季から取り扱いを始めた新進気鋭のベアフットシューズブランドNotace(ノータス)のトレイルモデル『Yama T1』を履いて行きました。トレイルでのパフォーマンスと足裏感覚を突き詰め、スタックハイト15mmのソールを搭載したゼロドロップシューズ。

Yama T1の驚くべき点は第一に軽さで、私が履いてる26cmは実測188gとサンダル並の軽さ。今回はインソールを抜いて歩いたのでさらに軽くなっています(実測178g)当店で定番のLONEPEAK9+と比較するとソールは10mm薄く、重量は100g以上軽い。かと言って頼りない感じはせず、次世代eTPUミッドソールが衝撃をしっかり吸収してくれます。

ソールにはシューズの屈曲を助ける形で溝が刻まれていて、複雑な足の動きに心地よく追従してくれます。まるでミッドソールが無い薄底のベアフットシューズや地下足袋のような柔軟な履き心地なのに、縦走やロングトレイルにも耐えられるソール厚。Yama T1は、薄底過ぎるベアフットシューズで足を痛めてしまった方や、反対にLONEPEAKなど中厚底のシューズからもう一段階薄いものにチャレンジしたいといった方にピッタリなモデル。詳しい製品レビューもあるので、よろしければ併せてご覧ください。

歩いた5日間の中で2日間雨でした。とは言っても午後には晴れてくれて、Yama T1の速乾性を試すにはもってこいのコンディション。午前の雨で靴下まで濡れてしまった状態から天候が回復し、気温20℃の中3時間ほど歩いたら乾きを実感しました。

アッパーがメッシュ素材のシューズでも通気性には結構差があるもので、Notaceのメッシュは目が粗く通気性が極めて高い。そしてシューズの構成を見ると、ヒール部分は合成スウェード、シュータンはアッパーと同じメッシュで保水するパーツが少ない。インソールを抜いてることもあり、沢をざぶざぶ歩いた後もシューズを脱いで遠心力で一気に水気が切れる、Yama T1は濡れた後のリカバリーが非常に高いシューズだと言えます。メッシュが粗い分、砂が入りやすいのが難点でしょうか。

銀山街道は、馬を使って運上銀や物資の輸送を行う為に幅2mで道が作られています。生活道や登山道とは出自が異なる、なだらかで道幅広い古道は歩いていて気持ちが良い。街道中最も標高の高い赤名峠(610m)を越えるといよいよ島根県へと入る。日本海側の植相に変わり、街並みは赤い石州瓦の家屋が増えて雰囲気がグッと変わります。

島根県美郷町から一時的に街道を逸れ、秘湯マニア垂涎の足元湧出「千原温泉」で汗を流し、そして三瓶山へと向かった。出雲国風土記の国引き神話にも登場し、伯耆大山と並んで山陰を代表する山のひとつ。古代の三瓶山の噴火によって石見・出雲周辺に銀や鉄といった鉱山資源をもたらし、現代では豊富な湧水をもたらす水分の山。島根の自然環境や文化を語る上で外せない山です。

寒冷な三瓶山では江戸時代から放牧が行われていて、山には観光リフトが架かり、温泉やキャンプ場もある牧歌的な雰囲気。しかし、山歩きとなると孫三瓶、子三瓶、男三瓶、女三瓶と複数のピークが連なり、アップダウンが意外とタフな縦走路です。高曇りながら景色は良く、島根半島や中国山地の山々が遠望できて楽しい山行でした。そして下山後はもちろん温泉へ。

三瓶には二ヶ所の共同浴場があり、どちらも鉄分を豊富に含んだ35℃のぬる湯。じんわりと身体が温泉に溶け込むような心地良い泉質で、1時間ほど浸かって山の疲れを癒しました。

三瓶に登る前日は麓の飲食店に入り、ご主人と旅の話や石見の歴史と自然のことで盛り上がった。そしてそのままお店の庭をお借りしてビビィで眠った。4月の三瓶は山菜がわさわさ生えていて、秋のきのこもたくさん出そうな豊かな環境。季節を変えてまた来たい場所です。

銀山街道に回帰したら「やなしお道」を進む。街道のハイライト区間であるやなしお道は「版築工法」と呼ばれる砂利と粘土を塩水で強固に固めた道で、下草や木が生えにくいのだとか。その為、当時の面影を留めた古道が7kmにわたって続いています。新緑も相俟って印象的な美しい道でした。

Daybreakのサイズ感と山っぽくないデザインは街道歩きによく合うなと思います。山だとつい早足になりがちだけど、街道では石碑に刻まれた文字を読み取ったり、辻堂や石に腰掛けお茶をしたり、ザックを下ろしてゆっくりする時間が自然と増える。道の駅で手作りの和菓子を買ったり、モノの出し入れが多いと開口部の広いパネルローディングが圧倒的に楽ですし、新しいDaybreakは底のマチが大きくなり格段に自立しやすくなっています。地味なことだけど、ザックを置く際に場所を探すストレスが減って嬉しい。

銀山を管理する為に置かれた代官所や武家や商家の屋敷など、江戸時代の町並みが残る重伝建大森地区。思いがけず驟雨に遭うも、石州瓦に雨がよく似合い風情がある。折り畳み傘では防げない雨の吹き込みでDaybreakがびしょびしょになるも、ザック本体の防水性が高くこの程度は全く問題ありません。しかし、シーム処理はされていないので濡らしたくないものは防水性の高い同社のスタッフサックZIPPYに入れてパッキングすればより安心かと。

石見銀山では間歩(まぶ)と呼ばれる坑道の見学がしたかったのですが、まだ時間が早く営業時間外でした。雨雲が去って晴れてきたのでゴールまで一気に歩くことにします。

新しいDaybreak22を5日間試した印象として、サイズやデザイン以前に背負い心地が良くなったことがまずストロングポイント。旧モデルと比べてショルダーハーネスが1cmほど幅広になって形も改良されています。ショルダーハーネスは現行のWINDRIDER40と同じものが使われていて、Daybreakは本体が小さい分、より重心がブレずに安定感がある。

私は旧モデルのDaybreak17を最長3泊4日のテント泊で使用したりしています。こちらの背負い心地も十分ではあるもの、5kgを超えるような荷物だと明確に新モデルの方が背負いやすい。ただ、旧モデルの方がウエストハーネスがしっかりしているので、そこで好みが分かれるかもしれません。

素材がストレッチメッシュへ変わったフロントポケットは、マチ付きポケットだった旧モデルより容量は減ったけど、ジッパーポケットが追加されて使い勝手は向上しています。お財布に鍵やパスポートとか、閉じられないポケットに入れておくのが不安な小物を収納するのに適しています。個人的に文庫本を入れるのに便利で、止水ジッパーで中のものが濡れない外ポケットというのが使いやすい。

瀬戸内海から歩き始めて5日目、最後の古道区間である沖泊道を抜けると突如として現れる日本海。途中で三瓶山に寄り道して200kmの行程となり、1日60km近く歩くような日もありました。ややハードな行程となるもDaybreakとYama T1で軽快に歩き通すことができました。どちらのアイテムも山と町を繋いで歩くようなスタイルにぴったりだと思います。見た目はもちろん機能的にもね

沖泊から15分程歩くと銀山街道の終着点温泉津港に着いた。大森同様に重伝建でもある温泉津、温泉街としては唯一の重伝建です。銀山街道はとくに宿場の町並みが美しい、また地図に書かれてない古道も数箇所残っていて期待以上に楽しめました。中国地方を縦断する150kmの街道、そのゴールが海辺の温泉街というのも最高じゃないですか?

歩き終わりは共同浴場「薬師湯」へ、大正初期に建てられたモダンな建築は温泉津のランドマーク的存在。コインロッカーにDaybreakを入れ、5日間の日々を振り返りながら温泉津の濃い温泉を堪能した。飛行機のラゲッジスペース、電車の荷物棚、銭湯や温泉のロッカーに収まるこのサイズ感。帰りの寝台列車では防犯の観点から枕元に荷を纏めても邪魔にならない、旅を伴う山歩きにはDaybreakが良き相棒となるでしょう。


ここまでご覧いただきありがとうございました。

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