【小豆島遍路】島の巡礼路、元四国を歩く。

こんにちは、BAMBOO SHOOTSスタッフの坂本です。

今回は「小豆島遍路」を4泊5日で歩いてきました。お遍路と聞くと殆どの方が四国を思い浮かべると思います、実は日本各地に四国遍路を模した「地四国」や「新四国」と呼ばれるミニお遍路が無数に存在していて、特に瀬戸内島嶼部に多い。島内で巡礼が完結する「島四国」は、手軽に周れることから厚い信仰を集めています。そんな地四国の中では小豆島遍路が最も有名で、四国遍路に次いで多くの巡礼者が訪れる。小豆島が他の地四国と異なるのは、弘法大師が実際に修行した地であること。四国遍路同様1000年以上の歴史を持つ霊場であり、四国遍路を「本四国」と呼ぶのに対して小豆島は「元四国」と呼ばれています。四国遍路を過去に歩いてから、いつか小豆島遍路も歩いてみたいと思っていました。

今回歩いたGPSログ(スーパー地形より引用)

島をぐるっと一周しながら93箇所の霊場を巡る小豆島遍路、歩いた距離は160kmにのぼり、ちょうど四国遍路の10分の1の距離。瀬戸内海最高峰の星ヶ城山(816m)を有する小豆島は、急峻な山や崖の上に建つ山岳霊場が多く、それらが160kmの中にぎゅっと収まっているのでアップダウンの連続となる。四国よりもキツいと評する人がいる理由も歩いてみると納得します。1日目は新岡山港から1時間ほどフェリーに揺られ土庄港へ渡り、小豆島霊場総本院を起点に時計回りで島を歩き始めました。小豆島は瀬戸内海で2番目に大きな島だけに、島内にはコンビニやスーパーがいくつもあって補給には困りません。また、道順を示す「へんろ石」と呼ばれる道標が四国遍路と同じくらい充実していて、地図を開いて道を確認することも少なかった。小豆島遍路は山が多いとはいえ、舗装路メインに長距離を歩くので、それを念頭においたシューズ選びが重要です。今回はALTRA『OLYMPUS275』(レビュー記事はこちら)を選びました。1500km以上ある四国遍路を歩いた時も、OLYMPUSの旧モデルを履いて行きそのクッション性と安定感におおいに助けられた。舗装路を50km歩くような日は、歩き方以前にある程度靴にクッション性がないと足裏がやはりつらい。

OLYMPUSのソール厚はそのままに、大幅な軽量化を遂げているOLYMPUS275は、長距離歩いてもとにかく疲れ知らず。長時間歩いているとつい足の置き方が雑になったりするものですが、33mmのソールがそれをカバーしてくれます。普段ベアフット系のシューズをメインで履いていると、改めて楽に歩けるなと感動しました。長距離を歩く際、シューズ選びに迷ったら選んでおけば間違いない一足。岩稜帯でも突き上げを感じずに歩けて、足首周りのスリーブで小石の侵入も防げるので、重たいハイカットの登山靴からローカットシューズへ移行したいなんて考えてる方にもオススメです。93箇所の霊場の内14箇所が山岳霊場となり、山を歩く割合は四国よりも多い。前情報で荒れてる道もあると聞いていましたが、歩いてみると良く整備されているように感じた。途中のお寺で話を伺ったご住職がお遍路の先達(案内)から道の整備までしているらしく、歩く身からすると頭が下がります。

小豆島にもお接待文化があって、札所にはお遍路さん用にフリーの柑橘が置かれていたり、歩いていると話しかけられてお茶を頂いたり、本堂でご住職と一緒にお経を唱えた後に、寺務所でうどんのお接待があるお寺もありました。遍路道は小豆島らしく、オリーブ畑や柑橘畑の脇をよく通る。5月に咲く花の季節は島中に甘い香りが漂うのだとか。土庄港はかどや創業の地で、今でもごま油の大きな工場が稼働しています。島に入港して最初に香ってくるのはお馴染みの香ばしい匂い。また、伝統的技法を受け継ぐ醤油蔵が多い苗羽地区を歩くと、醤油の香りで満ちています。潮風、抹香、柑橘、オリーブ、ごま油、醤油…小豆島を歩いていると常に鼻腔をくすぐられ、食の誘惑もとても多い。山道、畦道、海辺、町中を通る遍路道の中で特にユニークなのが、高さ74mに及ぶ吉田ダムを階段で降る道。小豆島の水利を支える吉田ダムは香川県最大級のダムらしく、コンクリートの階段を一気に降りて行くのは、山越え直後の膝に堪える。ここを降りれば吉田温泉、汗を流して気分も身体もさっぱりして再び歩き出す。せっかく港町を歩いているので、ときおり誘惑に負けて大衆食堂でちょっと一杯。特産の手延べ素麺を使ったにゅうめんを食べたり、島の醤油でじっくり煮込まれたおでんを食べたり。どこかお店に入る度にお遍路ならではの出会いがあって、そんな地域の方々との交流も歩き遍路の醍醐味。小豆島は遍路道以外にも気になる場所や魅力的な場所が沢山あって、つい寄り道が目的になってしまいそうになる。島山好きの私としては、瀬戸内海最高峰は登っておかねばということで、18番札所石洞門で遍路道を逸れて寒霞渓から星ヶ城山へ。奇岩が屹立する裏8景コースを登り、石洞門から1時間ほどで標高816mの山頂に到着しました。着用したウェアは山と道『100% Light Merino Long Sleeve』をベースに、MOUNTAIN HARD WEAR『AIR MESH HOODY』PATAGONIA『HOUDINI JKT』今回歩いた3月の小豆島は思った以上に冷え込み、お寺で張らせていただいたビビィとシュラフが凍って生地同士が貼り付いてしまうほど。5日間の最高気温は13℃で、瀬戸内地域としては真冬並の寒さでした。毎年この季節に瀬戸内を旅している経験から、綿物の保温着を一切持たず小豆島へ渡ってしまい、レイヤリングとしてはあまり適正と言えなかった。氷点下になった日以外でも朝の気温は2~3℃、海風も強くOctaを使用したエアメッシュフーディの上にフーディニジャケットを羽織ることで、ギリギリ寒くないかな…?といった感じ、日中に山をハイクアップするシーンではエアメッシュフーディ単体でちょうど良かったです。

ウインドシェルが多岐にわたって進化を遂げる昨今、PATAGONIAのフーディニは正直地味な印象を抱いていました(長年愛用しています)。市場には高通気、超軽量、ストレッチの効くウインドシェルが登場する中で、フーディニはストレッチ性がなく、Mサイズで105g、通気性が殆どないといった、ウインドシェルのアイコン的存在であるものの平凡なスペック。しかし、だからこそ気兼ねなく使える十分な強度があり、程々に蒸れるおかげで氷点下でもOctaとフーディニで寒さを凌げました。風が強い朝に高通気系のシェルではおそらく寒かったでしょう、今回のレイヤリングは定番アイテムの尖り過ぎてないことの良さを見直すきっかけになりました。小豆島は良質な花崗岩を産出する石の島。古くは大阪城の石垣にも使われていますし、今でも採石場があります。寒霞渓以外にも島中に安山岩や花崗岩の岩峰がいくつもあって、そんな岩峰の窟には霊場がある、先月歩いた国東半島峯道と似た雰囲気を感じます。

窟内に本堂が建てられた霊場では、般若心経が幾重にも反響して唱えながらに陶酔してしまう。高所感ある岩場を歩く時にはアドレナリンで高揚感もあり、行者たちが験力を得ようと修行の場を岩山に求めた気持ちがよく分かる。島×岩峰で眺めが悪い筈なんてなく、山岳霊場からは本州、四国、淡路島、瀬戸内の島々がよく見え、朝日や夕日がとにかく美しい。眺望の良い山や海辺で思い立ったらすぐ寝転べるように、ロールマットを外付けできるザックを作って歩きに来ました。その選択は正しく、都会の喧騒を忘れて浜辺で昼寝したり、個人商店で買ったお惣菜を食べたり、喫茶店にふらっと入ったり、休憩してばかりの充実したトレイルとなりました。春の瀬戸内をのんびり歩くのって、やっぱり最高。海、山、町、棚田を歩き、5日間の歩く日々があっという間に過ぎ去って、島を一周して総本院に戻ってきました。本尊の弘法大師に無事に歩けたお礼の気持ちを込め、最後の般若心経を唱える。四国も小豆島も他の地四国も、「巡礼」と固く捉えずに楽しく歩く人がもっと増えたらいいなと思います。

中目黒では桜が開花し、段々過ごしやすい気温になってきましたが、高山はまだまだ雪を抱いている季節、この春は身近な街道や古道や巡礼路に目を向けてみるのもいかがでしょうか?古地図を見ながらのハイキングは、いつもの山遊びとまた違った魅力がありますよ。

店頭では今シーズンの新作ハイキングギア、ウェア、トレイルシューズ、ロードシューズが続々と入荷してきています。歩きたい場所や必要な装備のご相談もお気軽にお申し付けください。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

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